食品成分の抗アレルギー効果について明らかにするため、高度不飴和脂肪酸(PUFA)および抗酸化成分のアレルギー調節機能を培養細胞および動物実験系を用いて検討した。 細胞レベルでは、PUFAはIgE産生の促進およびその他の抗体産生の抑制を通じてアレルギー促進効果を示し、そのIgE産生促進効果は二重結合数の増加に伴い強くなること、脂溶性抗酸化剤の共存によりIgE産生促進効果の発現が抑制されることを明らかにした。一方、ラット腹腔滲出細胞(PEC)からのLTB_4放出はPUFAにより抑制され、その抑制効果は二重結合数の増加に伴い強くなることを見出した。つぎに、これらの効果の生体レベルでの発現を検討するため食餌脂肪と茶ポリフェノール(TP)の同時摂食実験を行ない、n-3系のα-リノレン酸に富むエゴマ油が膜リン脂質のアラキドン酸の割合の減少を通じてPECのLTB_4放出能を低下させることを示した。一方、TPはアラキドン酸の割合を低下させることなくLTB_4放出能を低下させた。また、細胞レベルで強いアレルギー調節機能を示したエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサへキサエン酸(DHA)の摂食効果を明らかにするため、EPAあるいはDHAに富む魚油を10%レベルで摂食させ、高EPA魚油が高DHA魚油より効率的にPECのLTB_4放出能の低下を誘導するが、血中IgEレベルの上昇やリンパ球のIgE産生能の増強は起こらないことを示した。 以上の結果は、n-3系PUFAおよび抗酸化成分の摂食がI型アレルギー応答を低減することを示唆しており、これらの生理活性成分の臨床試験の実施が今後必要である。
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