研究課題/領域番号 |
08456071
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
矢島 崇 北海道大学, 農学部, 助教授 (90142702)
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研究分担者 |
清水 収 北海道大学, 農学部, 助手 (20178966)
中村 太士 北海道大学, 農学部, 助教授 (90172436)
渋谷 正人 北海道大学, 農学部, 助手 (10226194)
高橋 邦秀 北海道大学, 農学部, 教授 (80281707)
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キーワード | 地表撹乱 / 森林再生 / 更新立地 |
研究概要 |
本年度は、カラマツとシラカンバ、ヤマナラシ、ドロノキの稚樹を対象として、器官量配分とシュートや枝の動態を調査し、樹種間の優占性の違いを生じさせる要因について検討した。さらに、カラマツ実生に付着する菌根菌のタイプと出現頻度を調べ、大規模撹乱地の植生回復に果たす菌根の役割を検討した。調査地は、駒ケ岳の南斜面の標高500m,600m,700mに設定したプロットとその周辺で、対象は、カラマツ、の稚樹とした。器官量配分は、樹高80cm以下の5〜6個体を対象として、葉、枝、幹、太根(直径1mm以上)、細根(直径1mm未満)に分け、絶乾重量を測定した。同時に、根の分岐と太根長(太根の長さの合計)も測定した。各標高から樹高2m以下の10〜12個体を樹種ごとに選び、5月から10月まで月1回の間隔で、当年生シュート数と1次枝数を測定した。プロット内の樹高0.5m以上の個体について、現在の主軸が萌芽由来である個体の頻度を調査した。器官量配分は、カラマツが広葉樹類に比べ、地下部重量が小さく、葉・枝重量が大きかった。根系については、支持機能と関連のある1次根数や吸収機能と関連のある細根量がカラマツで多かった。シュートの枯死はカラマツでみられず、広葉樹3種ではシュート・1次枝ともに約2〜3割が枯死していた。萌芽個体はカラマツではみられず、広葉樹類では約9割を占めていた。これらの特性によりカラマツは、広域にわたって優占し得ていると考えられる。広葉樹類は、萌芽によって個体が維持されている場合が多い可能性があり、根系の重量配分を大きくすることによって根系がより大きな栄養貯蔵器官として作用していると考えられた。カラマツ実生には12タイプの菌根菌がみられ、これらが栄養確保などで重要な役割を果たしていると考えられた。
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