研究課題/領域番号 |
08456075
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90213024)
|
研究分担者 |
木佐貫 博光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00251421)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
山本 博一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70174810)
梶 幹男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00152645)
|
キーワード | トドマツ / 遺伝的多様性 / 樹木分布様式 / 天然林 / 標高 / 択伐 |
研究概要 |
本年度は、トドマツ天然林における施業が、集団の遺伝的多様性に及ぼす影響について検討した。その結果、未施業の天然林集団では、各遺伝子座において比較的高率でホモ接合体が認められるのに対して、施業集団では、ホモ接合体の割合が減少し、へテロ接合体の割合が高くなる傾向が認められた。これは、天然林施業によってホモ接合体を多く含む個体が選択的に伐採されたものと推定することができる。しかし、このようなホモ接合体の減少によっては、当該集団における各遺伝子座における遺伝子頻度は変化しなかった。すなわち、集団の遺伝的多様性はホモ接合体の減少によって高まったということができる。また、当該林分において、上木集団と稚樹集団の遺伝的多様性についても比較したところ、やはり、稚樹集団ではホモ接合体の割合が上木集団よりも高かったが、遺伝子頻度には大きな差は認められなかった。これまで、ヒノキの育苗過程やヨーロッパアカマツの更新過程などで、同様の現象が認められており、トドマツでも、森林の成立過程における遺伝的多様性の変化は、ホモ接合体の減少という形で現れ、伐採はそれを加速する方向で働いていると考えられた。東京大学北海道演習林では、林分施業法と呼ぶ独特の択伐方式が取られており、どちらかというと不良木に偏った選択的な択伐が行われている。そのことがホモ接合体の減少に有効に作用している可能性がある。
|