研究課題/領域番号 |
08456083
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
寺沢 実 北海道大学, 農学部, 教授 (50003124)
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研究分担者 |
玉井 裕 北海道大学, 農学部, 助手 (50281796)
佐野 雄三 北海道大学, 農学部, 助手 (90226043)
船田 良 北海道大学, 農学部, 助教授 (20192734)
酒井 憲司 東京農工大学, 農学部, 助教授 (40192083)
大谷 諄 北海道大学, 農学部, 教授 (30001465)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 水分動態 / 樹幹歪 / 樹液の溢出 / 根圧 / 吸収 / 蒸散 / 耐凍性 / 成長 |
研究概要 |
(1)冬期間歪変動:冬期間凍結する寒冷地の樹木は、寒気の変化に応じて収縮・膨脹を繰り返すなど、凍結氷の収縮・膨大に同調した動きをした。(2)樹液溢出時期の歪変動:一方、シラカンバの樹液溢出時期での樹幹歪の変動は極くわずかであり、この間は樹幹内を一定圧を保ちつつ樹液を枝先の花芽や葉芽に供給している。(3)歪の日変動:樹幹歪変化は樹幹温度変化と逆の関係にあった。即ち、日の出と共に気温の上昇に伴う樹幹温度の上昇があり、一方、気温上昇に伴う蒸散活動の活発化に応じて樹幹が収縮した。日没、夜間に根からの吸水によって樹幹は収縮解除し膨脹した。材の肥大成長は、収縮と膨脹の差となって現れた。(4)成長にともなう樹幹の肥大歪の測定:全樹種に共通する歪変動、樹種に特徴的な歪変動の存在が明かとなった。夏期に歪変動量(成長量)が最大となるが、秋期に緩やかに下降し冬期に平衡に達した。(5)溢出樹液の化学分析:シラカンバおよびベルコ-サカンバの樹液溢出状況の差、および含有化学成分を分析し違いを検討した。樹液溢出の日変化と根の歪変化とに相関を認めた。(6)通道組織の細胞生化学的観察:シラカンバの細胞内デンプン粒、油滴の消長を観測し、冬期間にデンプン粒、油滴がなくなること、春先に光合成の始まる前に再びデンプン粒が現れることを観察した。これら貯蔵物質は、樹体内の液体の耐凍性を高めたり、樹液溢出時のエネルギーとして利用しているものと思われた。(7)冬期間の樹幹内の水分分布の測定:シラカンバの樹液の溢出時期以前には、樹幹内通道組織には水分は存在せず乾いた状態にあるが、溢出時期には全ての通道組織に水が充満し、根圧による水分の吸収が大きな役割を演じていることを示していた。(8)導管の形成:ヤチダモの導管は、樹高の高いところから低いところへ順次形成した。(9)道管相互壁孔の壁孔壁の微細構造:シナノキ、ハリギリで道管相互壁孔の壁孔壁の微細構造に明かな違いがあった。構造や分布に季節変動や部位による相違があり、壁孔壁の微細構造が水分通道に重要な役割を演じていることが示唆された。
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