1.湿潤木材の接触角は心材の方が辺材より大きく濡れ性が悪かったが、熱処理をすることによって心材の接触角と同じになった。心材をアルコール・ベンゼン抽出すると両者は同じ値になり、濡れ性の差は細胞壁内腔に沈着する抽出物に起因することが判明した。 2.遠心力によるウォーターポテンシャルの低下とメニスカスによるウォーターポテンシャルの低下の釣り合いから、湿潤状態のスギとダグラスファーの透過径分布を求めることを試みた(遠心法の開発)。 3.その結果、辺材ではトールスの動きが予見され壁孔分布を求めることが困難と判断された。心材の透過径分布はスギとダグラスファーでは異なり、スギの方が大きいものの個体間でばらつきがあることがわかった。 4.湿潤状態で熱処理の一つである局所的水蒸気爆砕処理を行った材は透過径が大きくなることが遠心法によって定量的に求められた。 5.透過径に及ぼす乾燥方法の影響を調べたところ、高周波減圧乾燥法で乾燥した木材の通気性は熱気乾燥で乾燥したそれより良好で、透過径が大きいことがわかった。これは高周波減圧乾燥法における水分移動の機構から説明されうる。
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