研究課題/領域番号 |
08456095
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邊 良朗 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (90280958)
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研究分担者 |
大竹 二雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授
沖山 宗雄 東京大学, 海洋研究所, 教授
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キーワード | シラス型変態 / 成長 / 耳石日輪 / マイワシ / カタクチイワシ |
研究概要 |
春期から初冬期にかけて、マイワシとカタクチイワシの仔稚魚を、北緯32〜40度、東経131〜170度の範囲で採集した。 マイワシについては、耳石日輪の予備的な解析結果から、ふ化後180日で体長150mmにまで成長することが分かった。この成長速度は従来想定されていた速度よりかなり大きい。既に収集済みの標本を処理することによって、このような速い成長が一般的なものであるか否かを明らかにできる。体長130〜150mmのマイワシでは耳石中のカルシウムに対するストロンチウムの比(SR/Ca)の経時的プロファイルにかなり大きな個体差がある事例が得られた。飼育実験によって、Sr/Caの経時的変化を解釈する尺度を得て、生まれてから約半年のマイワシの生態変化を説明することが可能となる。 カタクチイワシでは、沿岸域(日向灘、相模湾、大槌湾)を生息場所とする群と、北緯37〜40度、東経150〜170度の東北沖合海域を生息場所とする群との間では、初期成長(全長40mmまで)に違いがあることが分かってきた。従来カタクチイワシは沿岸域に分布する魚種として研究されており、このような沖合い域に生息するカタクチイワシの成長に関する知見はこれまでに報告がない。採集済みの標本についての成長解析結果を海域間比較することによって、広域な海域でのカタクチイワシの初期成長動態が明らかになる。 これらシラス型変態魚類と比較するために、シラス型仔魚とは対照的にふ化直後から高い運動能力を持つサンマの初期成長動態を解析した。その結果、40mmまで成長するのに要する日数に、発生季節、あるいは年による大きな違いがあった。成長動態の違いは、黒潮域、黒潮-親潮移行域という海域間でも顕著であった。この結果はシラス型魚類においても、海域間、発生季節間に経年的な違いがある可能性を示唆している。
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