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1997 年度 実績報告書

スルメイカの卵塊形成に関与するムチン型糖タンパク質の生化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08456103
研究機関東京水産大学

研究代表者

木村 茂  東京水産大学, 水産学部, 教授 (10017056)

キーワードスルメイカ / ムチン / 糖鎖 / 卵塊 / 包卵腺 / 糖タンパク質 / 粘質物 / 無脊椎動物
研究概要

スルメイカは直径1mにもなる巨大な卵塊を生み、卵塊内の受精卵は1週間ほどで孵化する。卵塊はムチン型糖タンパク質を主成分とするゲル状の膜によって保持されており、この卵塊膜は雌イカの成熟と共に急速に発達する包卵腺が分泌する粘質物に由来する。
本研究では卵塊膜の主成分であるムチンの糖鎖構造を調べた。
1.スルメイカ・ムチンは脊椎動物・ムチンと異なり、その糖鎖は希アルカリ処理によるβ-位離脱反応で切り出すことが出来なかった。そこで、ヒドラジン分解による糖鎖の切り出しを試みた。初めに、標準的な条件である80℃-9時間の気相ヒドラジン分解を行った。遊離した糖鎖はN-アセチル化の後、バイオゲルP-4を用いるゲル濾過で分画した。その結果、中性糖鎖画分の主成分はTLCおよび逆相HPLCで分析すると、ほぼ単一成分であることが判明した。
2.この主要糖鎖の構造を質量分析法とNMR法で調べたところ、ガラクトースの2、4および6位にそれぞれフコース、4-O-メチルグルコース(新奇糖成分)および4-O-メチル-アセチルグルコサミン(新奇糖成分)の結合した4糖からなる特異な分岐糖鎖であることが判明した。無脊椎動物のムチンに関する研究はこれまでにほとんど無く、脊椎動物のムチンとは性状を異にするユニークな糖鎖の存在が明らかとなった。
3.しかし、ムチン型糖鎖はN-アセチルガラクトサミンを介してタンパク質のトレオニンあるいはセリンとグリコシド結合している。本研究で得た糖鎖はN-アセチルガラクトサミンを欠いており、ヒドラジン分解に問題があるのかも知れない。今後、分解条件の検討を行い、このユニークなスルメイカ・ムチン糖鎖の構造を解明したい。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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