魚介類に適したグルタチオンの定量法についてまず検討した。魚介類試料2gを5%スルホサリチル酸で除タンパクシ後、遠心上清を得、試料溶液とした。酸化型および還元型グルタチオン(GSH)は大量処理ができるようにGriffis等の方法で定量した。試料溶液を凍結保存すると溶解の度に数%の損失が認められた。従って、試料は調製後直ちに定量する必要を認めた。上記方法により、ハマチ、タイ等のの普通肉および血合い肉、カキ、ホタテガイについて、GSHおよびGSSGを定量した。その結果、ハマチ普通肉では100g当たりGSH95.2nmol、GSSG4.5nmol、血合い肉ではGSH334.6nmolであり、一般に血合い肉の方が高い傾向を示した。これは血合い肉の方が活性酸素発生が著しいためと考えられる。一方、ホタテガイ、カキではそれぞれGSH780.6nmol、GSSG18.6nmolと著しく高い値を示した。 GSH、GSSGともに嫌気条件下より高い貯蔵安定性を示した。空気下では総グルタチオンも減少した。すなわち、空気下におけるGSHの減少はGSSGへの酸化ではなく、このことは機能成分としてグルタチオンを安定的に保持するためにきわめて重要な結果である。今後GSHの減少機構を明らかにする必要がある。また、ホタテガイのGSH含量は非常に高い値を示したが、明確なGSHパーオキシダーゼ活性を認めなかった。ホタテガイにおける活性酸素消去系について解明する必要がある。
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