本年度は一般に広く消費されている約50種類の魚介類について、グルタチオン(GSH)、酸化型グルタチオン(GSSG)、総グルタチオン量を測定し、魚介類の摂取の意義について検討した。大量のサンプル処理のために、分析には高速液体クロマトグラフィーを開発した。試料2gからスルホサリチル酸抽出を行い、適宜希釈して、分析に供した。移動相:25mMNaH_2PO_4(pH3.0)、流速:1.0ml/min.カラム:東ソ-ODS120TM(150x4.6mm)50℃とした。定量はポストカラムによる蛍光分析とし、反応コイル(テフロンチューブ、内径0.5mm)で反応液(NaOH2.5g、H_3BO_42.5g、フタルアルデヒド0.2gの1000ml水溶液)と反応させ、ex.350nm、em.420nmで分析し、試料gあたりのnmolで示した。 総GSHは約2nmolから約1000nmolときわめて広い分布を示した。GSSGは一部の例外を除きほぼGSHの10%以下であった。また、血合肉中の総GSHは普通肉の約2-3倍を示した。赤身の魚類より、白身の魚類の含量はおおむね少なく、なかでもアンコウのように運動量の低い魚では数nmolしか含まれていなかった。ヒラメなどの底棲魚に比べ、回遊魚中の含量は比較的高く、特にブリやサケでは200nmolを超えていた。一方、底棲動物でも貝類の含量は高いものが多く(200nmol以上)、特にホタテでは1000nmolに近い値が得られた。
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