研究概要 |
1.ハマチ・ブリ、タイの養殖主産地であると同時に、ハマチの2,3年魚生産の中心地である鹿児島県において、生餌から配合飼料=ドライ・ペレットへの転換が急速に進んでいる。その課程の実態調査を、錦江湾および東町において実施した。また養殖市場調査を福岡県等において試みた。後発地域である鹿児島県は生産条件に最も恵まれ、急速に生産量を伸ばしている。 2.日本の給餌養殖生産量はおよそ、海水魚28万トン・淡水魚8万トン、淡水魚では配合飼料がほぼ100%であると見なしてよい。海水魚ではイワシ漁獲量の豊魚により専ら生餌が使われてきた。しかし漁獲激減により生餌価格が高騰し、ドライ・ペレットへの転換が急速に進んでいる。配合飼料は残餌が少なく、生餌より漁場を汚染しない。価格面からも相対的に有利な条件が生まれつつある。 3.水産用配合飼料のミール配合率は50%強である。輸入自由化と景気後退により「畜産不況」は戦後最悪と言われ、大豆カス等に比べ割高なミール配合率が1%台に低下した。水産養殖用のミールは高品質であり、畜産用ミールに比べ配合比率が大きい。 4.養殖用配合飼料は養殖業の成長に伴い、飼料市場の中で最大の成長部門である。日本の配合飼料メーカーも先細りの否めない畜産業に対して、規模はそれほどではないとはいえ将来性の期待できる養殖用飼料に強く関心をもつ。さらにハマチ・ブリ、タイに対しては、産地仲買商が飼料と養殖生産物を結びつけるインテグレーション化が徐々に進行している。
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