研究概要 |
1. 国内のミール生産量は、マイワシの漁獲減がはじまって以来減少の一途をたどっており、その代替手段としてチリ、ペルー、エクアドルといった南米太平洋側からの輸入量が急増するという状況が生まれた。しかし、近年起こったエルニーニョ現象は、これらの国々におけるアジ類、イワシ類等の漁獲を減少させ、日本への輸出量もこれまでの増加基調を保証できるような状況にはない。現に、魚粉の輸入価格は1トン当たり、80,000円まで上昇しており、国内飼料メーカーおよび養殖生産者が、これをどこまで許容できるかという厳しい状態にある。 2. (社)日本養魚飼料協会の調べによれば、平成9年の養魚用配合飼料の生産量は約42万トン。これまで一貫して増加してきているが、その中でも、特にタイ、ブリといった海産養魚での伸びが著しい。現在では、タイおよびブリ向けの配合飼料が、全生産量の7割を占める。配合飼料の普及率は、淡水魚でほぼ100%、タイも普及し尽くしたと推定される。 3. 飼料メーカーはミール価格の上昇は避けられないとしながらも、今後も引き続き養魚用配合飼料への需要は伸びるものと予想している。したがって、種苗生産用のマダイ、ヒラメ向け初期飼料、普及率アップを目指す育成用のハマチ、カンパチ向け飼料のほか、さらに対象種の拡大を視野に入れながら、漁場環境の保全、末端ニーズに細かく配慮した製品づくりという視点から、製品開発を強化する考えをもつ。また、養殖業者および末端消費者の声をフィードバックさせるため、情報確保の手段として産地仲買などとのインテグレーションを進め、それをもって製品の差別化に結びつけようとしている。
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