研究概要 |
日本の河口近くの多くの湖沼にはヘドロが堆積し環境問題となっている。そこで,近年その解決策としてヘドロの浚渫が実施されているが,浚渫されたヘドロの処理が問題となっている。本研究は,浚渫されたヘドロの有効利用に関するものであり,特に,岡山県児島湖を対象にしている。本研究は,これを建設材料として,特に盛土材料として利用する場合のヘドロの挙動に関して基礎的な考察を行おうとするものである。特に,ヘドロの強度変形特性を適切に評価できる力学モデルを構築することを第一の目的とする。ヘドロは,凝集剤を投入された後,圧縮脱水され,脱水ケーキ状にされる.平成10年度は,特に脱水ケーキ作成時の圧力と脱水ケーキの粒径(ケーキの断片の大きさ)が圧密挙動に及ぼす影響について重点的に考察を行った.圧密試験には標準圧密試験機,大型円筒圧密試験機(内径18cm),小型遠心載荷装置を用いた.それと合わせて,実験土層による模型実験を実施した. 実験手順として,円筒圧密試験機を用い,脱水ケーキを設定された圧密圧力で作成することから開始した.さらに作成された脱水ケーキを数種類に設定した粒径に細分化し,これを供試脱水ケーキ粒とした.次に,この試料を用いて,1g場の大型円筒圧密試験と72gの遠心載荷自重圧密試験を実施した. 試験結果より,脱水ケーキ作成時の圧密圧力と粒径が大きいほど,圧密沈下が抑制されることが明らかとなり,モデル構築のための有力な知見を得た.
|