研究課題/領域番号 |
08456124
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
伊藤 和彦 北海道大学, 農学部, 教授 (70001477)
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研究分担者 |
樋元 淳一 北海道大学, 農学部, 助手 (00199019)
川村 周三 北海道大学, 農学部, 助教授 (80161363)
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キーワード | 機能性水 / 強酸性電解水 / 野菜殺菌 / L-アスコルビン酸 / 強アルカリ水 |
研究概要 |
1. 研究目的:カット野菜の需要が増加する中で、これの品質向上を求める意見が多く出されている。カット野菜の原料には土壌由来の微生物が多く付着しており(10^5〜10^8/g)、切断することによって微生物の増殖が進み、流通可能期間が極端に短い。カット野菜の品質向上のために、初発菌数を低下させることが必要になるが、製品の性格上加熱殺菌法は利用できない。そこで、本研究は、機能性水の一種である「強酸性電解水」を用いたカット野菜の殺菌法を確立することを目的とした。 2. 研究方法:5種類のカット野菜を対象に、各種条件下で殺菌を行い、菌数の変化および有効成分の変化を測定した。有効成分として、「L-アスコルビン酸」を取り上げて殺菌条件との関係を明らかにした。 3. 研究結果:強酸性電解水が短時間(1〜3分間)強い殺菌力を示すことはすでに確認しており、本年度は、強アルカリ電解水との組み合わせおよび荊処理としての超音波処理が菌数減少に効果があることを確認した。具体的には、強アルカリ電解水で前処理することによって菌数を1/10に、また超音波処理を殺菌と平行して行うことによって対照区と比較して、菌数を1/10にそれそれ減少させることが可能であることを確認した。L-アスコルビン酸(ビタミンC)をin vitroで強酸性電解水と反応させると、電解水の有効塩素濃度によって異なるが、2〜5分間で初期の40〜60%が分解した。5分後の有効塩素濃度を測定するとほぼゼロを示しており、L-アスコルビン酸は有効塩素によって分解されることを確認した。in vivoではレタスとキャベツを用いて測定した結果、2分間の殺菌期間にL-アスコルビン酸はタスで10%、キャベツで20%低下し、その後、殺菌時間を延長してもL-アスコルビン酸の量には大きな変化を認められなかった。これは別に行った、水道水中に浸漬した場合の結果を勘案すると、カット野菜中のL-アスコルビン酸の強酸性電解水殺菌による変化は、切断面からの溶出および切断面での分解が原因と考えられ、組織内に含まれるL-アスコルビン酸には影響を与えないと結論づけた。すなわち、強酸性電解水を用いたカット野菜の殺菌は、品質を良好に保ちつつ、有効な殺菌を行なうことが可能な殺菌法であることを究明した。
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