研究課題/領域番号 |
08456125
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
飯本 光雄 千葉大学, 園芸学部, 教授 (90009324)
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研究分担者 |
富士原 和宏 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (30211535)
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キーワード | 作物病害防除 / 電気分解水 / 施設栽培 / うどんこ病 / べと病 / 灰色かび病 / pH / 遊離形有効塩素濃度 |
研究概要 |
施設栽培における殺菌・病害防除への電気分解水の利用に関する基礎研究として、主に、電気分解強酸性水(以後、単に強酸性水)噴霧による作物病害防除の実証試験(防除実証試験)、および強酸性水による作物病害防除の効果因子策定のためのpHおよびECC(遊離形有効塩素濃度)調節水噴霧試験(効果因子試験)を行った。 防除実証試験には、NaCl希薄水溶液を電子分解して得た強酸性水を用いた。強酸性水のpHは2.8、ECCは32ppm、ORP(酸化還元電位)は1120mVであった。3あるいは4日ごとに強酸性水をキュウリ株に噴霧した。うどんこ病発病率は、噴霧11日目(試験最終日)には、1および2l噴霧区において対照(無噴霧)区より有意に小さくなった。4l噴霧区の発病率は、井水噴霧区および対照区より有意に小さかった。べと病発病率は、噴霧25日目(試験最終日)まで、いずれの強酸性水噴霧区においてもほぼ0%であり、同日の井水噴霧区および対照区より有意に小さかった。またその発病は、井水区より10以上、対照区より7日以上に抑えられた。他方、強酸性水噴霧区では、噴霧15日目以降、葉焼けに類似した生理傷害が発生し、その率は、噴霧25日目二はおよそ50%に達した。これらの結果より、強酸性水噴霧は、作物病害防除に対して効果のあることが示された。しかしながら、強酸性水噴霧は同時に生理障害を引き起こすことから、その発生を抑制するための技術の確率が必要である。 効果因子試験には、pHおよびECCをそれぞれ独立に調節した水溶液を用いた。トマト株に3あるいは4日ごとにそれらを噴霧した。その結果、うどんこ病に対しては、低pH(2.7以下)とECC(20-50ppm)のいずれも発病抑制効果因子であること、および両因子間に交互作用(相乗効果)のあることが示された。また、1300mV程度以下のORPは、発病抑制効果因子ではないことが示された。他方、灰色かび病に対しては、いづれの調節水噴霧においても効果は認められなかった。pH2.7以下またはECC20ppm以上の調節水の噴霧害により、生理傷害の発生が認められた。これらのことから、強酸性水による作物病 防除の効果は、低pHとECCの交互作用によるものであると推察できること、またそれらの因子効果の有無は病原菌の種によっても異なることが示された。
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