研究概要 |
本研究は,農業用ロボットのための軽量マニピュレータを開発することを目的としている。ほ場で管理作業や収穫作業を行う農作業ロボットは,多様な作業をこなすため,大出力かつ軽量であるマニピュレー夕が望まれる。さらに,マニピュレータに取り付けるハンドの軽量化も考慮する必要がある。そこで,本研究ではスイカ収穫作業に対象を絞り,マニピュレータとエンド・エフェクタに関する研究を行った。エンド・エフェクタについては,制御と駆動機構の構造を簡略化すると共に,制御に要するアクチュエータをなるべく少なくして軽量化をはかるため,受動形メカニカル方式と真空パッド方式のどちらも使用できるようにした。メカニカル方式については,スイカを把持する際の位置ずれの許容誤差とスイカ果皮に与える衝撃力について,実験で明らかにした。マニピュレータについては,昨年度行った計算結果とこれまでに試作した過去2台の収穫ロボットの長所と短所を検討し,機構の見直しを行った。一般に、開リンク機構のマニピュレータは片持ち梁となるため、アームの剛性、特に曲げ剛性が低く、アクチュエータと減速機の質量もリンクの質量に加算されて慣性負荷となる。このため、マニピュレータの質量に対して可搬荷重が低い。したがって,平行四辺形リンク機構,ロバーバル機構及び油圧駆動を組み合わせて、マニピュレータの高剛性化と可搬荷重の増大を行った。さらに,従来の試作機で問題となった,カウンタバランスによる慣性の影響も考慮し,関節トルク低減のため,引っ張りバネを用いた。以上をもとに,マニピュレータの試作を行い,その位置決め精度を光波距離計を用いて計測した。
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