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1997 年度 実績報告書

水の瞬間断熱膨張による菌体破壊(殺菌)に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08456128
研究機関九州大学

研究代表者

早川 功  九州大学, 農学部, 助教授 (30038252)

キーワード高圧殺菌 / 水の断熱膨張力 / 耐熱性胞子 / Bacillus stearothermophilus / Escherichia coli / 断熱膨張 / 歪速度 / 菌体破壊
研究概要

1918年、Zimmermanは高い静水圧と微生物の関係を報告して注目された。一方、我が国では、1989年から農林水産省を中心に食品産業への高圧技術の利用研究が推進され、それらの基礎的データの収集が行われた。しかし高圧殺菌機構の解明には至らなかった。
代表者は此の度の科学研究費の補助で走査型電子顕微鏡の入手が叶えられた結果、高圧処理後の菌体破壊状況を詳細に観察することが可能になり、高圧殺菌機構の解明に成功した。その殺菌原理に基づいた高圧殺菌装置を試作し、高圧殺菌に必要な圧力を既存の高圧殺菌圧力よりも1/3以下に低下させた100〜200MPaでも耐熱性胞子Bacillus stearothermophilus(食中毒菌で最も恐ろしく、強い耐熱性を有するCl.botulinumよりも約50倍熱に強い)を4〜6桁以上殺菌することができた。
また大腸菌(Escherichia coli)を室温で400MPaに加圧後、瞬間除圧(操作時間=2分以内)することで完全に滅菌できた。またこれらの菌体を200MPa以下の低い圧力でも滅菌できることを実証した。この時の大腸菌細胞壁の膜酵素の挙動変化を検討した結果、瞬間除圧処理でTrypsinの活性が大きく阻害されていた。次いでα-glucosidaseの活性が低下していた。また次のような膜酵素の一部が阻害を受けた(β-glucosidase、Naphthol-AS-BI-phosphohydrolase、Phosphatase alkaline、Esterase Lipase、Valine arylamidase、Esterase)が、β-galactosidase、Leucine arylamidaseの二種類の酵素は、400MPa2分間処理の様な短時間処理では圧力障害を受けなかった。しかしこの実験で下記のことが明らかになった。即ち、高圧実験で一般的に行われている静的な加圧方法よりも、この研究で行った瞬間除圧のような動的な手法が微生物の殺菌は勿論、酵素の失活においても遥かに優れていることを実証した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 早川 功: "高圧殺菌機構の解明" 食品開発. 31・11. 14-16 (1996)

  • [文献書誌] 早川 功: "瞬間断熱膨張式殺菌装置の開発" 食品工業. 40・2. 45-50 (1997)

  • [文献書誌] 早川 功: "高圧殺菌装置の開発と特性" 食品機械・装置. 34・4. 85-91 (1997)

  • [文献書誌] 早川 功・他5名: "瞬間除圧式殺菌装置の開発" 食品科学工学会誌. 45・2. 158-162 (1998)

  • [文献書誌] 早川 功: "瞬間除圧式殺菌技術" 化学装置. 40・3. 71-75 (1998)

  • [文献書誌] Hayakawa Isao(他8名): "Mechanism of Inactivation of Heat-Tolerant Spore of Bacillus stearothermophilus IFO 12550 by Rapid Decompression" Journal of Food Science. 63・3(印刷中). (1998)

  • [文献書誌] HAYAKAWA,Isao(他2名): "Engineering & Food at ICEF 7,Part 1." Ronald Jowitt(Ed.),Sheffield Academic Press,London, 1013 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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