研究課題/領域番号 |
08456135
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 高弘 東北大学, 農学部, 助教授 (20111297)
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研究分担者 |
渡邊 康一 東北大学, 農学部, 助手 (80261494)
中村 文彦 東北大学, 農学部, 助教授 (20271893)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 家畜骨格筋 / 筋芽細胞 / 増殖因子 / 筋管形成促進因子 / 筋管形成能 / MyoD転写因子群 / クローン化筋芽細胞 / 三次元再構築 |
研究概要 |
筋形成は筋芽細胞の分化・増殖、筋芽細胞の融合による筋管の形成、筋線維の形成の3つの現象に大別される。筋形成を理解するためには、筋芽細胞の融合による筋管の形成機序を解明することが最も重要である。近年、筋細胞の分化を制御するMyoDファミリー転写因子群とその遺伝子発現が解析された。しかしながら、筋管の形成を促進する因子の同定と作用機作に関しする研究は行われていない。本研究では、家畜骨格筋から筋管形成因子を分離し、その作用機作を検討し、家畜の筋形成の機構を解析した。本研究により、以下の成果が得られた。 牛・筋芽細胞培養法の確率:筋組織の消化法の改良、ダルベッコ変法イ-グル培養液とM-199培養液を4:1に混合した培養液の使用、牛胎児血清と豚胎児抽出物の添加により、牛筋芽細胞の筋管形成系の培養法が確立された。筋芽細胞の濃縮はDCA法とサイトカラシンB法の組み合わせで可能であった。 筋管形成の培養系の開発:筋芽形成はインスリンとIGF-1によって促進された。発達した筋管は濃縮した筋芽細胞をa-FGF存在下で増殖させ、SFE、インスリンあるいはIGF-1を添加した分化培地に交換することにより、形成させることが可能であった。 MTFの検索と同定:豚胎児の骨格筋、腎、肺SFEは筋芽細胞の高い増殖活性を示した。筋管形成促進活性は骨格筋、肺、腎SEFで胎児SEFより強く、分子量3-10kDと10-30kDの画分で認められた。筋管形成促進因子(MTF)はヘパリン吸着蛋白で、0.9-1.2Mの塩濃度で溶出され、単一の蛋白因子であることが確認された。MTFはIGF-1と異なる新規の筋管形成促進因子である可能性が強く示唆された。 AChEとAChRの出現に対するMTFの作用:IGF-IとMTFの単独添加で、AChE陽性筋芽細胞が多く誘導され、AChEは分化方向性が決定した筋芽細胞、G_1期ではなく、G_0期の筋芽細胞に出現することが明らかとなった。AChR陽性細胞はAChE陽性細胞より遅れて出現し、分化程度の高い筋芽細胞に発現した。 クローン化筋芽細胞の作製:初代牛筋芽細胞のコロニー培養法により、デスミン陽性で筋管を形成するBmb-1とBmb-2のクローン化筋芽細胞が作製された。これらクローン化牛筋芽細胞は6代まで継代が可能であった。Bmb-2クローン化筋芽細胞において、AChE陽性細胞の割合がIGF-1、MTFの添加によって増加した。 筋組織の三次元再構築:牛の筋芽細胞からの筋組織の三次元再構築はスフェロイド形成法と線維束法で成功した。前者では、直径が250-500μmのスフェロイドが形成され、IGF-IとMTFはスフェロイド形成を促進した。三次元再構築を構成した細胞はデスミン陽性であり、表層の2-3層では発達した筋管と筋芽細胞が観察された。後者では個々の線維上で筋芽細胞から筋管が形成された。 以上の様に、in vitroの筋形成に対する筋管形成因子について、多くの新知見が明らかにされた。
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