(1)従来の超遠心法を2回繰り返すことにより、鶏およびラットの血漿より純度の高いカイロミクロン、VLDLおよびLDLを大量に採取することが可能であった。次いで、採取したカイロミクロン及びVLDLを、それぞれの動物から調整したリポプロテインリバーゼと2時間反応させ、鶏では存在が確認されていないカイロミクロンレムナントおよびVLDLレムナントの大量調整法を確立した。 (2)単離したリポプロテイン(カイロミクロン、VLDL、LDL)およびリポプロテインレムナント(カイロミクロンレムナント、VLDLレムナント)の物理化学的性状を検討し、各レムナントでトリグリセリド、粒子サイズおよびApo C-IIの減少が確認された。また、ラットと鶏の各リポプロテイン画分において、化学組成の種間差は見られなかったが、アポプロテイン組成に種特異性が発見された。 (3)鶏およびラットのリポプロテインレセプターのリンガンドと推測されるリポプロテインレムナントおよびLDLを^<125>Iで標識し、各動物から調整した肝細胞膜とBinding assayを行ったところ、各リポプロテインに特異的なbindingが認められ、哺乳動物でも明らかにされていない肝臓のリポプロテインレムナントレセプターの存在が示唆された。 (4)各種リポプロテインの競合阻害試験により、鶏肝細胞膜中にはLDLとVLDLレムナントと結合するレセプターがそれぞれ存在し、カイロミクロンレムナントはその両者に結合することが示された。また、VLDLおよびカイロミクロンも、肝細胞に結合する可能性が示唆され、哺乳動物とは異なる特異的な、リポプロテインレセプターが存在する可能性が示唆された。
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