Theileria sergentiおよびT.buffeli感染赤血球から原虫および感染赤血球付帯構造物であるveilを精製した。veil構成蛋白質は、SDSで可溶化後、SDS-PAGEにより分画、各蛋白質バンドを精製、それぞれのN-末端アミノ酸配列を決定した。23kDaおよび18kDaの2種の蛋白質についてはN-末端から約20個のアミノ酸配列が決定できた。この配列を蛋白質データバンクに登録されている蛋白質のアミノ酸配列とのホモロジー検索を行ったが、既知の分子とのホモロジーは見いだせず、原虫にユニークな配列と考えられた。さらに各分子のトリプシン消化断片の内部アミノ酸配列決定することにより、一次構造解析を継続して行っている。 ピロプラズマの保有するメタロプロテアーゼに関しては、合成ペプチドを基質(アミノクマリン標識)としたタンパク分解酵素活性を調べ、基質となる合成ペプチドを選び出した。さらに、この基質の分解活性を指標にして、虫体抽出液から液体クロマトグラフィーで酵素を部分精製した。解析に必要な量が得られ次第、一次構造解析を行う。核酸代謝関連酵素であるribonuclease reductase遺伝子をクローニングするため、マラリア等赤血球寄生性原虫の相同分子の遺伝子配列からプライマーを設計し、PCRを行った。しかし、特異的なバンドの増幅は認められなかったため、最近クローニングされたT.annulataの同遺伝子情報なども加え、プライマー設計、PCR条件の検討を行っている。
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