研究概要 |
28頭の除脳ネコを用いて、頚筋(板状筋)、体幹筋(腰最長筋、外腹斜筋)、後肢筋(大腿二頭筋・半腱様筋、腓腹筋・ひらめ筋)に走る筋神経を分離して記録電極に乗せてから、中脳に存在するmidbrain locomotor region(MLR)を電気刺激して脊髄内にプログラムされているcentral pattern generator(CPG)を駆動させた。CPGが駆動された結果生ずる運動ニューロンの律動性放電活動を、これらの筋神経からのニューログラムとして記録した。その結果、MLRの電気刺激によって頚筋と体幹筋の筋神経からも律動性放電の記録されることを始めて明らかにした(J.Vet.Med.Sci.,59,951-952,1997)。MLR電気刺激によって筋神経に律動性放電活動が出現する割合は筋神経によって異なり、後肢筋の神経の出現率は50%であったが、頚筋は14%、と体幹筋は14%と25%であり、脊髄内に存在するCPGは、その存在する部位によって出現率が異なること、すなわち、階層構造をなしていることを明らかにすることができた。さらに、10頭の除脳ネコを用いて、腰最長筋を支配する筋神経を第一腰髄、第三腰髄、第五腰髄から分離して、MLR電気刺激時の各筋神経からの律動性放電の出現率を調べたところ,第一腰髄神経における出現率は約50%ともっとも大きく、第五腰髄神経殻には律動性放電が出現しなかった。この事実は、ひとつの筋を動かすCPGのなかにおいても階層構造が組み込まれている可能性を示唆している。
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