最初に本年度は科学研究補助金のスタートの年であったので、基礎的データを得る目的で、購入した2波長分光蛍光測光システム(CAM-230L型、日本分光)を用いて、化学構造式にアミノ基を有する標準の各種抗菌性物質(例えばPenicillin系の一部、Aminoglycoside、Sulfonamides)の2倍階段希釈液について、アミノ基標識用の蛍光誘導化剤のFluorescamineにより、蛍光発光の確認、最適な励起波長の測定、最適反応時間、あるいは蛍光強度などを測定した。 次に、アミノ基を有する標準Ampicillin、Amoxicillin、Dihydrostreptomycin、Streptomycin、Kanamycin、Sulfamethazinの2倍階段希釈液を用いて、Bacillussubtilis ATCC-6633を試験菌とするペプトン・フリーの最小培地上にディスク法により阻止円を形成させ、その阻止円上にFluorescamine溶液を滴下後、分光蛍光測光システムにより、発光強度および測定限界値などを測定した。 さらに次年度からは、アミノ基を有さない各種抗菌性物質について、カルボン酸標識用(4-bromomethyl-7-methoxycoumarin)、あるいはオチール標識用(7-diethylamino-3-(4-maleimidylphenyl)-4-methylcoumarin : CPM)などの蛍光ラベル化剤を用いて、上記と同様の実験を行う。さらに、分光蛍光測光のin vitro型ファイバーユニットシステムを購入して、食肉、血清、卵、牛乳などに既知抗菌性物質を一定量添加後、本法による測定条件や測定限界値などの検討を行う予定である。最終的には、in vitro型の2波長分光蛍光測光システムを用いる、畜産物中の残留抗菌性物質の新検査法の確立を目指す。
|