平成9年度は、前年度に引き続いて、若干の基礎的データの追加あるいは再確認をする目的で、2波長分光蛍光測光システム(CAM-230L型)を用いて、アミノ基を有する標準抗菌性物質類(例えばPenicillin系の一部、Aminoglycoside、Sulfonamides)の階段希釈液について、アミノ基標識用の蛍光誘導化剤のFluorescamineにより、蛍光発光の最適な励起波長と蛍光波長の測定、最適反応時間、あるいは蛍光強度などを測定した。 次に、Bacillus subtilis ATCC-6633を試験菌とするペプトン・フリーの最小培地上にDisc法により発育阻止帯を形成させ、アミノ基を有する標準Ampicillin、Amoxicillin、Dihydrostreptomycin、Kanamycin、Sulfamethazinの階段希釈液を用いて、その発育阻止帯上にFluorescamine溶液を滴下・浸潤させたのち、分光蛍光測光システムにより、発光強度と測定限界値を測定した。 さらに、アミノ基フリーの各種抗菌性物質については、カルボン酸標識用蛍光剤(4-bromomethy-7-methoxycoumarin)、あるいはチオール標識用(7-diethylamino-3-(4-maleimidylphenyl)-4-methylcoumarin:CPM)を用いて、同様の実験を実施した。本年度は、分光蛍光測光のin vitro型ファイバーユニット・システムを購入したので、食肉、血清、卵、牛乳などに既知のアミノ基保有抗菌性物質を一定量を添加したのち、本法による測定条件や測定限界値などの検討を行った。次年度は、in vitro型の2波長分光蛍光測光システムを用いた畜産物中残留抗菌性物質の新検査法の確立を目指す予定である。
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