海洋生物から放出されるブロモホルムが珪藻を始めとする海洋プランクトンに対して付着防止作用があるアレロレミカルであることを示し、ブロモホルムの作用濃度および季節による付着防止作用の効果等についてのデータを得た。 海洋起源のモノハロメタンが主に海洋プランクトン由来のSAM-ハライドイオン転移酵素の作用により生成することを証明したが、本酵素の諸性質については不明な点が多い。同酵素は不安定で微量にしか存在しないため、その精製はかなり困難だった。そこで、各種海洋プランクトンの中から比較的安定な酵素を生産する株を選択し、安定化並びに精製の条件を検討した結果、同酵素の精製に始めて成功した。また本酵素の一部はSAM以外にメチルメチオニンをメチルドナーとして利用した。海洋プランクトンからのモノハロメタンの放出量を算定した。その結果、臭化メチルについては、大気化学的な試算と比較的良好な一致が認められた。 土壌細菌由来のブロモペルオキシダーゼのクローニングと同酵素の効率的発現法を確立し、多量に得られた酵素を利用し、スチレン、インデン等の化合物から対応するハロヒドリン化合物が合成できることを確認した。しかし、ハロゲン化の立体選択性は特に認められなかった。本酵素は既知のエステラーゼと高い相同性を示し、D-アセチルチオイソ酪酸メチルのメチルエステルに作用し、他のエステルには作用しなかった。この事より、本酵素はハロゲン化とエステラーゼの両機能を有する特異な酵素であることが明らかとなった。
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