研究課題/領域番号 |
08457005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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研究分担者 |
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
石橋 誠 京都大学, 医学研究科, 助手 (30232341)
森 千里 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90174375)
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キーワード | アポトーシス / プログラム細胞死 / DNA断片化 / 形態形成 / 四肢原基 / 口蓋 / マウス胎児 |
研究概要 |
1)昨年度明らかにしたように、マウス四肢指間部や口蓋瘉合部には、時期特異的なプログラム細胞死(アポトーシス)が起こり、それが器官形成に極めて重要な役割を果たしている。今年度、これらのアポトーシスの細胞を組織化学的に調べたところ、それらの細胞に高分子熱ショック蛋白の一つであるHSP105が共発現していることを見いだした。また、坑HSP105抗体で免疫沈降を行ったところ、ムクレオソーム単位に断片化したDNAが特異的に沈降したことから、HSP105が断片化DNAと密接に関連しアポトーシスの過程で重要な役割を果していることが示唆された。 2)マウス口蓋の器官培養系において、アポトーシスに関与するcaspaseの阻害剤であるYVDA-CHOならびにDEVD-CHOによって瘉合部のアポトーシスが起こらないようにしたところ、口蓋突起が正常に瘉合し口蓋が形成された。組織学的にも、口蓋瘉合部においては口蓋突起の接着時にではなく瘉合部で上皮組織が消失するときにアポートーシスが見られることから、アポトーシスは哺乳類の口蓋の瘉合に不可欠の現象ではなく、瘉合部で上皮細胞が消失する時に起こるものと考えられた。 3)前後肢の母指側に過剰指をもつミュータントマウス(Pdn mouse)の胎児について、胎生期の四肢原基におけるアポトーシスの起こり方を経時的にNile blue染色で調べた。その結果、手板、足板の軸前部に見られるアポトーシスの発現に異常が認められ、それがこの系統における遺伝性多指症の原因であると推定された。 4)胎児の神経管瘉合時期に妊娠マウスに熱ショック(43度、8〜10分)を負荷したところ、6〜12時間後に強いアポトーシスが認められた。このことから、熱ショックによって障害を受けた神経前駆細胞がアポトーシスによって排除されていくと推定された。
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