• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

リンパ系機能とリンパ管内皮細胞との相互作用に関する細胞生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08457009
研究機関信州大学

研究代表者

大橋 俊夫  信州大学, 医学部, 教授 (80020832)

研究分担者 伊古美 文隆  信州大学, 医学部, 助教授 (50262704)
キーワードリンパ管新生 / リンパ管内皮細胞 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / ヘパリン / ウーンドアッセイ法 / 細胞増殖と遊走 / 管腔形成 / タイプIコラーゲン
研究概要

塩基性線維芽細胞増殖因子による培養イヌ胸管内皮細胞のリンパ管新生現象
ウーンドアッセイ法及びコラーゲンゲル法を用い、bFGFに対する培養イヌ胸管内皮細胞によるリンパ管新生現象について解析を行なった。あわせてこのリンパ管新生現象に対するヘパリンの作用も検討した。
実験には雑種成犬を用いた。脱血屠殺後直ちに胸管を摘出し、コラゲナーゼによって内皮細胞を剥離し、10%FBS(fetal bovine serum)を含むMEM(minimum essential medium)培地中で3〜4代の継代培養を行なった。細胞増殖におけるリンパ管新生現象を評価するため、はじめに1.5×10^5のリンパ管内皮細胞を含むディッシュを24時間培養した。次いで、培地を血清を除いたMEMとし、ここに使用溶媒、10μg/mlヘパリン、10ng/mlbFGF、もしくはヘパリンとbFGFとを添加した4群を作製した。これをさらに24時間培養し、各群のディッシュに含まれる細胞数を比較検討した。次に、単一層を形成している内皮細胞の一部を剃刀の刃で剥離し、FBSを含まないMEM培地中で24時間培養した。この場合も先程と同様の4群に分けて剥離端から遊走した細胞数と遊走距離とを計測した。また、リンパ管でも血管と同様な管腔様構造が生じうるか否かを検討するため、コラーゲン(タイプI)ゲルの上に内皮細胞を培養し、24時間後に使用溶媒、10μg/mlヘパリン、10ng/mlbFGF、そしてヘパリンとbFGFとの同時添加群に分け、これをさらに48時間培養し、位相差顕微鏡下で観察した。さらに各群の標本を透過電顕で観察し、内皮細胞による管腔様構造の形成を画像解析により定量化した。
その結果、リンパ管内皮細胞の増殖に対して、ヘパリンのみの投与ではコントロールと有意差はなかったが、bFGFは細胞の増殖を有意に促進し、ヘパリンとbFGFとの同時添加群ではこの増殖をさらに加速するということが判明した。ウーンドアッセイの方法により、リンパ管内皮細胞の遊走は、使用溶媒添加群に対してヘパリンのみを添加した場合にはほとんど変化は見られなかったが、bFGFを添加した場合、明らかに多くの細胞が切断端を越して遊走しているのが観察された。さらに、ヘパリンとbFGFとを同時投与したときには、遊走細胞はより増加した。
コラーゲンゲル上での培養においては、コントロールでは管腔様構造が見られなかったが、bFGFもしくはヘパリン添加群では48時間後から細胞がゲル中に入り、新しい管腔の形成される様子が観察された。ヘパリンとbFGF同時添加群では、より多くの管腔様構造が認められた。リンパ管内皮細胞は透過電顕によっても管腔様構造を形成していることが確認された。さらにこれらの管腔様構造の長さと面積とを指標として定量化した結果、ヘパリンもしくはbFGFにより有意にこの管腔様構造の増加することが認められた。ヘパリンとbFGF同時添加群では、これをさらに促進することも判明した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] KAMEI T, OHHASHI T et al: "Instrumentation for concarrent,dynamic monituring of active sweat glords and perspiration volume" INSTRUMENTATION,SCIENCE & TECHNOLOGY. 25. 39-53 (1997)

  • [文献書誌] WANG HJ, MIZUNO R, OHHASHI T.: "Macrophge-induced nitric oxide-and prostagandins-mediated reloxation in arterial smooth musiles" CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY & PHAPMACOLOGY. 75. 789-795 (1997)

  • [文献書誌] WANG JX, IKOMI F, OHHASHI T.: "5-Hydroxytyptamine induced nitric oxide and pronoids -mediated relaxations in isolated dogautericr spiral small arteries" CANADIAN JOURNAL OF PHYSIOLOGY & PHAPAMCOLOGY. 75. 357-362 (1997)

  • [文献書誌] NISHIZAWA S, OHHASHI T. et al: "Capsaiein-induced nitric oxide-dependent relaxation in the isoloted dog urethra" EUROPEAN JOURNAL OF PHAAMACOLOBC. 335. 211-219 (1997)

  • [文献書誌] YASHIRO Y, OHHASHI T: "Flou-and acetylcholine-mediated nitric oxide-and prostaglavidins- dependent podilation in isolated rabbit spiral cliteredes" AMERICAN JOURNAL OF PHCSIOLOGY. 270. H99-H106 (1997)

  • [文献書誌] ZANG JL, YOKOYAMA S, OHHASHI T: "Inhibitory effects of fluoresention isothiocyanate photoactivation on lymphatic pump activity" MACROVASOULAR RESEARCH. 54. 99-107 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi