研究概要 |
ラット心臓(in situ)にマイクロダイアリシス法を応用した研究により、100μMATP供給下で得られる透析液中のアデノシン濃度は心室筋のエクト-5′-ヌクレオチダーゼ(5′-NT)の指標となることが判明した。そこで今回はこの5′-NTの活性がCキナーゼ(PKC)によって調節されていることを明らかにする実験を行ない以下の結果を得た。 1)ノルアドレナリン(10μM)を透析用プローブを介して与えると、100μMATP供給下での心室筋間質のアデノシン濃度は38.7±9.6%(P<0.05)増加した。この増加はα遮断薬プラゾシン(50μM)またはPKC阻害薬ケレリスリン(10μM)によって完全に抑制された。 2)さらにα刺激薬メトサシキン(100μM),ジアシルグリセロールアナログDOG(100μM)の投与によってもアデノシン産生をそれぞれ35.1±10.0%(P<0.05),40.6±8.3%(P<0.05)増加させた。 3)蛋白質脱りん酸化酵素阻害薬オカダ酸(50μM)の存在下では、ノルアドレナリン(10μM)によるアデノシン産生は112.4±35.9%(P<0.05)にまで著しく増大した。 これらの所見より, in situ心室筋の間質においても,α 受容体刺激によってPKCが活性化され、それが5′-NTを活性化することによりアデノシン産生が促進されることが、はじめて明らかにされた。
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