研究課題/領域番号 |
08457023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 秀哉 北海道大学, 医学部, 教授 (20000929)
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研究分担者 |
富樫 広子 北海道大学, 医学部, 講師 (20113590)
吉岡 充弘 北海道大学, 医学部, 助教授 (40182729)
松本 真知子 北海道大学, 医学部, 助手 (70229574)
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研究期間 (年度) |
1996
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キーワード | serotonin / dopamine / anxiety / conditioned fear stress / antisense oligonucleotide |
研究概要 |
本研究では生理的刺激を伴わない不安・神経症のモデルである恐怖条件付け(condit ioned fear stress:CFS)に着目し、このモデルで出現する「すくみ行動(freezing)」の発現機構および生化学的変化を捉えることにより内因性不安惹起物質の同定を目的とした。ラットを電撃ショック箱に入れ30分間電撃刺激(1mA、変動間隔30秒で30回)を加え、2時間後再び同じショック箱に戻し、電撃を加えず30分間置きCFSを負荷した。CFS負荷により「すくみ行動」と平行して大脳皮質前頭前野におけるドパミン及びセロトニン遊離が増加することが明らかとなった。このことはセロトニンあるいはドパミンが内因性不安惹起物質の可能性を示唆するものである。しかし、セロトニンあるいはドパミンの遊離上昇が不安状態の結果として生じる可能性は否定できない。そこで、5-HT_6受容体のmRNAのantisense oligonucleotideを側脳室内投与し、5-HT_6受容体の発現を抑制したラットではCFSによるセロトニン及びドパミンの遊離上昇が消失した。しかし、すくみ行動は有意な変化が認められなかった。このことは、CFS負荷時のセロトニン、ドパミンの遊離には5-HT_6受容体が関与していることを示唆するものである。しかし、すくみ行動が抑制されなかったことはセロトニンおよびドパミンは不安状態の結果として上昇した可能性が強く示唆される。すなわち、セロトニンあるいはドパミンは内因性の不安惹起物質である可能性は低いと思われる。しかし、本研究からCFSには5-HT_6受容体が寄与していることを示す結果が得られた。このことは5-HT_6受容体関連薬物が抗不安薬としての可能性を示すものと考えられた。
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