研究課題/領域番号 |
08457024
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 勝年 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
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研究分担者 |
桜井 武 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60251055)
石川 智久 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (10201914)
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キーワード | カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 二酸化炭素 / 血流 / 血管弛緩 / カプサイシン |
研究概要 |
我々はこれまでに、骨格筋の持続収縮により生じたCO_2がカプサイシン感受性知覚神経を刺激し、その血管周囲抹消端からCGRPを遊離することにより血管を拡張させ血流増加をもたらすことを示唆する成績を得た。そこで本年度は、このCO_2によるカプサイシン感受性知覚神経の興奮が、抹消での局所的な反応なのか、あるいは、中枢神経系を介する反応なのかを明らかにすることを目的として、中枢から後肢部を切り離した摘出後肢灌流標本を用いた実験を行った。ラットをペントバルビタールで麻酔した後、後肢全体を股関節で胴体から切り離した。総腸骨動脈に挿入したカニューレから37℃に保温したリンゲル溶液を一定速度で灌流し、カニューレに接続した圧トランスデューサーを用いて灌流圧を測定することにより抹消血管抵抗の変化を解析した。NaHCO_3を灌流リンゲル溶液中に加えると、骨格筋の持続収縮による反応と類似の持続的な血流増加反応が観察された。その際、灌流排液中のCO_2濃度は有意に上昇していた。以上の結果から骨格筋収縮によるPco_2の上昇を介した血流増加反応は、中枢神経系を介さず、抹消組織のみで引き起こされる局所的な反応であることが示唆された。本研究により、骨格筋の持続収縮により生じたCO_2がカプサイシン感受性知覚神経を興奮させ、その血管周囲抹消端からCGRPを遊離することにより血管を拡張させ血流増加をもたらすという、中枢神経系を介さない新しい神経性局所血流調節機構の存在が明らかとなった。
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