研究課題/領域番号 |
08457024
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
後藤 勝年 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (30012660)
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研究分担者 |
桜井 武 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (60251055)
粕谷 善俊 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (70221877)
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キーワード | カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 二酸化炭素 / 血流 / 血管弛緩 / カプサイシン / EDHF |
研究概要 |
我々はこれまでに、骨格筋の運動により産生されたCO_2が血管周囲に存在するカプサイシン感受性の知覚神経を刺激し、その末端からCGRPを遊離することにより血管を拡張し局所の血流を増加させることを示してきた。そして、この反応は中枢神経系を介さない、新しい神経性局所血流調節機構であることを証明してきた。本年度は、高血圧状態において、このような局所血流調節機構に変化があるか否かを探る目的で、自然発症高血圧ラット(SHR)を用い、まずCGRPの血圧降下作用と総頚動脈および大腿動脈の血流増加作用を対照のWistar-Kyotoラット(WKY)と比較検討した。ウレタン麻酔下に、CGRPを静注した際の血圧降下反応を指標にして用量・反応曲線を作成すると、12週齢のSHRでは同週齢のWKYに比べて有意に降圧反応の亢進が認められた。CGRPは総頚動脈と大腿動脈の何れにおいても血流増加を引き起こしたが、総頚動脈の血流増加の方が大きかった。この血流増加は末梢血管の拡張に基づく末梢抵抗の低下によるものであり、この末梢血管拡張反応はWKYに比べてSHRにおいて有意に亢進していた。以上の結果より、高血圧動物においてはCGRPによる降圧反応及び末梢血管拡張反応が亢進していることが示唆される。これには、高血圧時に血中のCGRPレベルが低下しており、血管平滑筋のCGRPに対する感受性が増大していることが関与しているものと考えられる。一方、内皮細胞依存性の血管弛緩反応に一酸化窒素(NO)と過分極因子(EDHF)が関わっていることが知られており、一方のEDHFがepoxyeicosa-trienoic acid(EPA)類似の化合物である可能性が示唆されているいるが、我々は最近、モルモット冠動脈のEDHFはEPAではないことを示し、EDHFの標的の一つとして平滑筋細胞膜のK+チャネルの可能性があることを提唱した。
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