研究課題/領域番号 |
08457026
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
今井 昭一 新潟大学, 医学部, 教授 (60013869)
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研究分担者 |
石橋 隆治 新潟大学, 医学部, 助手 (60184561)
吉田 豊 新潟大学, 医学部, 講師 (40182795)
仲澤 幹雄 新潟大学, 医学部, 助教授 (80143759)
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キーワード | 血管平滑筋 / cyclic GMP / cyclic GMP依存性タンパク質リン酸化酵素 / 細胞膜カルシウムポンプ / IP_3受容体 |
研究概要 |
1.cGMP保存性タンパク質リン酸化酵素(G-Kinase)による細胞膜Ca^<2+>ポンプの活性化に関連してリン酸化されるタンパク質として我々がブタ大動脈平滑筋で発見し、inositol1,4,5-trisphosphate(IP_3)結合タンパク質であることが示された240kDaタンパク質は、同組織の主要なIP_3受容体と同一であり、よく研究されている小脳IP_3受容体と同じく、type1 IP_3受容体に属することが明らかになった。しかし、大動脈のIP_3受容体は、小脳受容体とは異なり、分子中央の調節部位に位置する40アミノ酸残基から成る部分を欠失したスプライシング変異体であった。欠失部分とその前後のアミノ酸配列の特徴から、大動脈IP_3受容体に特徴的な性質であり、生理的にも重要と考えられるカルモジュリン結合性は、この欠失により生じることが示唆された。 2.G-kinaseによる明確な活性化が起こる部分精製細胞膜Ca^<2+>ポンプ標本から、免疫沈降法によりIP_3受容体のみを特異的に除去しても、G-kinaseによる細胞膜Ca^<2+>ポンプ活性化には影響しなかった。そこで、G-kinaseの細胞膜Ca^<2+>ポンプに対する直接作用を、ほぼ完全に精製した細胞膜Ca^<2+>ポンプを用いて検討したところ、G-kinaseは、低濃度で単量体として存在し、高いカルモジュリン感受性を保持している状態にあるCa^<2+>ポンプを活性化することが、高濃度で2量体として存在し、カルモジュリン感受性を消失して、それ自身活性化された状態にあるCa^<2+>ポンプに対しては作用を示さないことが明らかになった。この活性化にはcGMPが結合して活性化状態にあるG-kinaseが必要であったが、Ca^<2+>ポンプはやはりリン酸化されなかった。また、typeIαとtypeIβの二種類のG-kinaseアイソザイムのうち、typeIαのみが活性化作用を示した。これらの結果から、細胞膜Ca^<2+>ポンプは、cGMPの結合により活性化されたtypeIα G-kinaseと直接相互作用することにより活性化される可能性が示唆された。
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