研究概要 |
コレステロール生合成系の後段階酵素のうち、ヒト、ラットのスクアレン・エポキダーゼ(SE)及びラノステロール合成酵素(OSC)のcDNA並びにgenomeDNAのクローニングを行い、その塩基配列を決定した。SEgenomeDNAはエクソン11,イントロン10よりなり、これをプローグにヒトSE遺伝子が第8染色体のテロメア近傍のq24.13-qに局在していることを明らかにした。HeLa cellを用いたSEのコレステロールによる発現を検討し、SEがHMG-CoA還元酵素、LDL受容体同様に転写レベルでスロールによる調節を受けることを明らかにした。また5'及び3'から欠失させたラット及びヒトプロモーターを用いたルシフェラーゼアッセイにより、ステロールによる制御に必要な2つの領域を同定した。ゲルシフト解析及び過剰発現させた結果から、制御領域Iにはsterol regulatory element binding protein (SREBP)が結合して、実際にその制御に関わっていることを示した。またもう1つの制御領域にはNF-Y結合配列が含まれていた。 これまでラット、ヒト、マウス、分裂酵母のSEcDNAを単離し、その一次構造を決定したが、ドメイン構成として膜貫通ドメインは生物種で異なり哺乳類では4回、パン酵母、分裂酵母、カンジダでは2回と推定され阻害剤の生物種特異生との関連が示唆される。生物種に拘わらず2個の高度な保存領域・,・・が存在し、トリチウム基質アナログのフォトアフィニティーラベルではΔ^<100>-RSEのN端から始まる分子量約12,000の保存領域・を含むポリペプチドに標識を検出した。一方、競争性阻害を示す阻害剤アナログでは保存領域・・の直後のトリペプチドに標識を検出した。従って、保存領域・及び・・は立体的には近くに存在して基質結合部を形成していると推定される。
|