ストロマ細胞OP9上においてマウス胚性幹細胞(ES細胞)を共生培養すると、中胚葉を経て血液細胞を分化誘導することができる。この誘導現象において機能する細胞外シグナル伝達分子をクローニングするために、分化誘導5日目の共生培養細胞(OP9細胞と中胚葉に分化したES細胞)を材料に用いての遺伝子クローニングを行った。クローニングのために、分泌タンパクならびに1型膜タンパクを効率よくクローニングすることができる方法であるシグナルシークエンストラップ法を用いた。 その結果、authenticなシグナルシークエンスを持つ遺伝子をクローニングすることができた。この遺伝子の全長の遺伝子配列を決定したところ、そのニワトリ相同遺伝子がすでにクローニングされていることが明かとなった。この遺伝子は、未分化な血液細胞において発現している遺伝子であるc-myb遺伝子によって制御されていることが明らかにされている。この遺伝子の機能・発現部位などについての解析を行っている。 また、ES細胞と始原生殖細胞の遺伝子発現の違いを解析することにより、マウスの初期発生における誘導を抑制する遺伝子を得ることができるのではないかと考え、始原生殖細胞の単離および、mRNAの単離をおこなっている。今後、differential display法、あるいはSage法による解析を行う予定である。
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