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1997 年度 実績報告書

遺伝子全領域同時SSCP法を用いたヒト癌における変異遺伝子の総合的検索

研究課題

研究課題/領域番号 08457049
研究機関岡山大学

研究代表者

清水 憲二  岡山大学, 医学部, 教授 (10037286)

研究分担者 松原 長秀  岡山大学, 医学部・附属病院, 医員
大内田 守  岡山大学, 医学部, 助教授 (80213635)
キーワード大腸がん / 遺伝的不安定性 / ミスマッチ修復遺伝子 / 細胞周期制御遺伝子 / 転写制御遺伝子 / がん遺伝子 / E2F4 / hMSH3
研究概要

本年度の特筆すべき研究成果は前年度に発見した大腸がんにおけるE2F4プロトがん遺伝子エキソン内CAGリピート数のがん特異的変異に関するものである。まず米国のS.Meltzer博士らとの共同研究により,E2F4の変異がマイクロサイライト不安定性(MI^+)を示す大腸がんや胃がんのうち約38%に起きていることが確認された。更に我々は木村彰方(東京医歯大),島田隆(日本医大)両教授の支援を受け,約30例のMI^+大腸がんを解析して次のような知見を得た。
(1)E2F4の変異は顕著なMI^+表現型を示すがんにのみ60%以上見られ,特に(CAG)の減少が多い。
(2)E2F4変異を持つがんの80%以上が同時にミスマッチ修復遺伝子hMSH3のエキソン7に1塩基フレームソフト変異を起こして失活している。
多重がんの例で,これらの変異はがんの進行度に伴って出現する。
これらのMI^+がんで他のCAGリピート配列の変異は低く,E2F4の変異と随伴しない。
酵母においてMSH3の欠損は3-4塩基の変異を起こすことが知られており,以上の知見はヒトがんにおいてもMSH3の欠損が新しく発見された標的遺伝子E2F4の3塩基変異をひきおこすことを示している。これまでMI^+のがんにおいてはMSH2,MLH1などのミスマッチ修復遺伝子の欠損がTGFβII受容体などの1塩基変異を起こすことが報告されていたが,MSH3遺伝子欠損の標的は不明であった。本研究によりその標的の最初の例が発見され,しかもそれががん遺伝子にもなり得る転写調節遺伝子であったことは重要な知見である。なお,変異したE4F4遺伝子はc-mycなどの遺伝子発現を亢進させるという知見(未発表)を得ており,E2F4の変異がこれらの大腸がんの進展に促進的に作用していると考えられる。以上のほか,本研究においては頭頸部がんにおけるcycD1の過剰発現,大腸がんにおけるK-ras遺伝子の新しい活性化変異部位,腎がんにおける染色体14qの欠失,E2F4と相互作用するp107遺伝子のがん特異的異常,肝がんにおける染色体欠失,新しい肺がん抑制遺伝子候補などが発見され(何れも未発表),詳細な解析が進行中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Masahiko Ideda: "Close correlation between mutations of E2F4 and hMSH3 genes in colorectal cancers with microsatellite instability." Cancer Research. 58(4). 594-598 (1998)

  • [文献書誌] Nobuya Monden: "Quantitative analysis of cyclin D1 messenger RNA expression in head and neck squamous cell carcinomas." Japanese Journal of Cancer Research. 88(7). 660-668 (1997)

  • [文献書誌] Souza,R.F.: "Frequent mutation of the E2F-4 cell cycle gene in primary human gastrointestinal tumors." Cancer Research. 57(12). 2350-2353 (1997)

  • [文献書誌] 清水憲二: "ヒトがんにおける遺伝子異常の総合的検索" 生化学. 69(5). 311-323 (1997)

  • [文献書誌] 清水憲二(分担執筆): "がん研究最前線 研究と臨床の現場から" 第11回「大学と科学」公開シンポジウム組織委員会、クバプロ, 211 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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