研究概要 |
ラット及びマウスの胎仔より成熟個体までの各段階で採取した脳を用い,ホモジナイズして得た100,000*g上清画分のCdk5,p35の含量変動及びリン酸化活性の動態についてWestern blot等により同定し,活性変動をHiston H1を基質として測定した。その結果生後約2〜3週で最も活性が高くなっていた。Cdk5,p35の含量変動では,Cdk5は週令を通じてほとんど変化せず、p35が活性と同期して増減を示した。 各発達段階におけるCdk5/p35の分布を光顕ならびに電顕による免疫組織解析では、両者の分布は胎生12日目より発現し、生後2週目で最も染色性が高くなった。これは活性の変動と同じであった。部位別では海馬に最も多かったが、皮質をはじめほとんどの脳の部位において発現していた。しかしこの発現は神経細胞特異的でありグリア細胞には存在しなかった。 脳以外の組織においては網膜において同様の解析をした。その結果脳で認められたのとほとんど同様の発達に伴う変化が認められた。 他のシステムとして、キンドリングてんかんラットを作成し、Western blotとNorthern blotによりCdk5/p35の発現の変化を検索した。またヒト・アルツハイマー病の脳組織から上清を調整し,Cdk5/p35活性を測定して,非アルツハイマー病脳ならびに正常ラット脳との比較を行った。これらはまだ定性的な結果を得ていない。
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