• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

交感神経によるグルコース輸送体の活性化とその分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 08457052
研究機関愛媛大学

研究代表者

嶋津 孝  愛媛大学, 医学部, 教授 (30090400)

研究分担者 矢野 元  愛媛大学, 医学部, 助手 (00284414)
キーワードL6細胞 / β_3アドレナリン受容体作働薬 / ノルアドレナリン / 褐色脂肪細胞 / グルコース輸送体 / GLUT1 / GST-融合蛋白質
研究概要

1.骨格筋由来のL6細胞へのグルコース輸送を促進するβ_3作働薬の作用機構
L6細胞へのグルコースの取り込みはβ_3アドレナリン受容体作働薬(BRL37344)によって用量依存的に促進される。この作用はインスリンの作用と異なり、細胞内蛋白質のチロシンリン酸化、ホスファチジルイノシトール・3・キナーゼの活性化、ならびにグルコース輸送体(GLUT4およびGLUT1)の細胞膜への移行を伴わず、輸送体のグルコースに対する親和性の増大によることが明確になった。またβ_3作働薬の作用はジブチリルcAMPによって再現できるので、cAMP依存性の機構に依存してると考えられる。
2.グルコース輸送体の輸送活性を抑制する内在性の調節蛋白質の分離・同定
初代培養褐色脂肪細胞を用いた昨年度の研究実績から、細胞内へのグルコース輸送を促進するノルアドレナリン(NA)の作用はGLUT4またはGLUT1の細胞膜への移行によるのでなく、細胞膜にもとから存在するGLUT1の活性化によることが明らかになった。同様な活性化は淡白合成阻害剤を短時間(2〜3時間)作用させる場合にも認められることから、細胞膜上のGLUT1と結合してその輸送活性を抑制する調節蛋白質の存在を想定し、その同定を試みた。GLUT1の細胞内C末端領域(G1C)をグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白質(GST-G1C)として発現するベクターを大腸菌に導入し、得られた融合蛋白質をCNBr-Sepharoseビーズに固相化してG1Cアフィニティカラムを作成した。培養褐色脂肪より調製した細胞質画分をこのアフィニティカラムによってG1Cと結合する蛋白質を検索したところ、33kDaの特異的蛋白質が検出された。この蛋白質の回収率は、あらかじめNAを作用させた細胞からのものが、対照ならびにインスリン刺激細胞のそれに比べて最も高かった。この事実は、33kDa蛋白質は通常GLUT1と結合してその活性を抑制するように働いているが、NAの刺激によって解離し抑制が解除されることの傍証となる。現在、この蛋白質の部分アミノ酸配列を解析中であり、その結果を待って完全長cDNAをクローニングする予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Tanishita,T., et al.: "The β_3-adrenergic agonist BRL37344 increases glucose transport into L6 myocytes through a mechanism different from that of insulin." Journal of Biochemistry. 122. 90-95 (1997)

  • [文献書誌] Shimizu,Y., et al.: "Activation of mitogen-activated protein kinase by norepinephrine in brown adipocytes from rats." Endocrinology. 138. 248-253 (1997)

  • [文献書誌] Shimazu,T., et al.: "Sympathetic and β_3-adrenergic regulation of glucose transport into brown adipocytes and skeletal muscle cells from rats." Experimental and Clinical Endocrinology & Diabetes. 105(Suppl.3). 18-19 (1997)

  • [文献書誌] Shimizu,Y., et al.: "Effect of noradrenaline on the cell surface glucose transporters in cultured brown adipocytes:Novel mechanism for selective activation of GLUT1 glucose transporters." Biochemical Journal. 330. 397-403 (1998)

  • [文献書誌] Yamauchi,T., et al.: "Noradrenaline and ATP decrease the secretion of triglyceride and apoprotein B from perfused rat liver." Pflugers Archives(European Journal of Physiology). 435. 368-374 (1998)

  • [文献書誌] 嶋津孝 他: "β_3受容体とその異常" ホルモンと臨床. 45. 165-179 (1997)

  • [文献書誌] Shimazu,T., et al.: "Thermal Physiology 1997(Eds.,Johannsen,B.N.and Nielsen,R.)" The August Krogh Institute(Copenhagen,Denmark), 426 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi