研究課題/領域番号 |
08457069
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松澤 昭雄 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50012745)
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研究分担者 |
善本 隆之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80202406)
木村 幹男 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90114462)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 自己免疫病 / スーパー抗原 / マウス乳癌ウイルス / lpr^<cg>遺伝子 / Vβ8.2T細胞 / リンパ節腫脹 / MRLマウス / 遺伝子治療 |
研究概要 |
12回の戻し交配により、MRL/Mpjへlpr^<cg>遺伝子を導入してMRL/Mpj-lpr^<cg>/lpr^<cg>(MRL-lpr^<cg>)コンジェニックマウスを作出し、その新生児をFM母親マウスに哺乳させ、MRL-lpr^<cg>fFMを作り、スーパー抗原の効果を調べた。1年間の追跡で、MRL-lpr^<cg>に比べMRL-lpr^<cg>fFMで寿命が延長し、尿蛋白質の減少が見られた。3及び5月齢での剖検で異常T細胞によるリンパ節腫脹がSAgで有意に軽度し、腫脹リンパ節のFACS解析では、CD4^+、CD8^+、CD4^-CD8^-(DN)T及びB細胞の割合は両者でほとんど差がなかったが、CD4^+、CD8^+及びDNT細胞のいずれの集団でもVβ8.2^+細胞がほぼ完全に消失していた。DNT細胞の消失は、これらの細胞がFasの機能欠損によるアポトーシス不全によることから、SAgがFas-FasL系を介さずに自己反応性T細胞を消失させることを示し、自己免疫病の治療に広くSAgを応用できることを支持する重要な所見である。腎臓の病理学的検査では、5月齢で2度以上の重症な糸球体腎炎を起こしたマウスは、MRL-lpr^<cg>では25匹中10匹(40%)でMRL-lpr^<cg>fFMでは24匹中3匹(12.5%)であり、SAgがVβ8.2^+細胞除去により腎炎を有意に軽減することが分かった。蛋白尿症とリンパ節腫脹の軽減と共に、臨床症状の改善に伴って糸球体への免疫複合体の沈着が減少し、抗DNA抗体などの自己抗体レベルがlgG2a及びlgG3サブクラスで低下した。MRL-lpr^<cg>fFMのみで見られた1年生存マウスでは、腫脹リンパ節の明瞭な退行とlgGクラス及びサブクラスの自己抗体の顕著な減少が注目された。したがって、MMTV(FM)がコードするSAgはVβ8.2^+CD4^+及びDNT細胞のアポトーシスをFas-FasL系を介さずに誘導することにより自己免疫病を改善すると考えられ、SAgの遺伝子治療への応用が支持された。
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