• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

遺伝子導入によるC型肝炎、肝癌病態モデル系の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 08457077
研究機関日本大学

研究代表者

江角 真理子  日本大学, 医学部, 助教授 (30167291)

キーワードC型肝炎ウイルス / 肝癌 / トランスジェニックマウス / メチル化 / 5-アザシチジン
研究概要

1 トランスジェニックマウスの作出
アルブミンプロモーター/エンハンサーとSRαプロモーターを利用して3種類の導入遺伝子、Alb-HN3.8、Alb-HN2、ME-HN2を構築した。C型肝炎ウイルス遺伝子構造蛋白質C,E1,E2領域を含む3.8kbの部分遺伝子(HN3.8)と全長遺伝子9.4kb(HN2)を導入したものである。各々3ライン、19ライン、9ラインを作出したが、肝臓での発現は8週令まで検出できなかった。C型肝炎ウイルス遺伝子導入マウスでは、導入遺伝子の発現が著しく抑えられることがわかった。
2 トランスジェニックマウスにおける導入遺伝子の発現誘導
導入遺伝子発現抑制が如何なる機構によるものかを解析するために、メチル化の機序を検討した。メチル化感受性の制限酵素によるサザンブロット法と、bisulfiteゲノムシーケンス法によるメチル化シトシンのマッピングにより、顕著にメチル化されていることが明らかとなった。そこで脱メチル化剤5-アザシチジン投与による発現誘導を試みたところ、6ラインのうち4ラインで発現誘導がみられた。C型肝炎ウイルス導入遺伝子の発現抑制は、高度のメチル化によることがわかった。
3 トランスジェニックマウスによる肝炎発症と遺伝子発現
7ヶ月から22ヶ月長期飼育したトランスジェニックマウスのなかに、病理組織学的な検索から肝内巣状壊死を示す個体や、腹水貯溜を伴う肝炎発症個体を観察した。Alb-HN3.8では2/2に、Alb-HN2では3/4に、ME-HN2では5/6に、軽度のものを含めて肝炎を観察した。これらの肝組織では導入遺伝子の発現も観察された。現在、これら病変の観察された系統について個体数をふやし、2年間の長期観察実験をすすめている。ヒトC型慢性肝炎は、PCRで始めて検出されるような微量なウイルスの増殖とその遺伝子発現で起こる疾患である。そういう意味では、本研究で得られたトランスジェニックマウスはヒトに近いモデルマウスともいえる。導入遺伝子発現のコントロールや免疫系の導入をしながら、よりヒトに近い肝炎肝癌のモデル動物の検討を進める。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ahmed M.他: "Murine humoral immune response against recombinant structural proteins of hepatitis C virus distinct from those of patients." Microbiology and Immunology. 42(2). 169-176 (1996)

  • [文献書誌] 加藤 珠実 他: "Inactivation of hepatitis C virus cDNA transgene by hypermethylation in transgenic mice." Archives of Virology. 141(5). 951-958 (1996)

  • [文献書誌] 江角真理子 他: "Immunoreactive core peptides of hepatitis C virus produced in Escherichia coli and in vitro DNA amplification-restricted transcription-translation system." Journal of Virological Methods. 59(1-2). 91-98 (1996)

  • [文献書誌] 江角真理子 他: "抗エンベロープ抗体でC型肝炎ウイルスを感染防御できるか." 肝胆膵. 32(6). 841-844 (1996)

  • [文献書誌] 水野真理 他: "分子系統樹解析による血液透析患者のHCV感染." 肝胆膵. 32(6). 859-862 (1996)

  • [文献書誌] Cerino A.他: "Antibody responses to the hepatitis C virus (HCV) E2 protein : relationship to viraemia and prevalence in anti-HCV seronegative subjects." Journal of Medical Virology. 51(1). 1-5 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi