研究課題/領域番号 |
08457081
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
多田 功 九州大学, 医学部, 教授 (60064531)
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研究分担者 |
岸原 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80214774)
古賀 正崇 九州大学, 医学部, 講師 (80136449)
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キーワード | ネズミ糞線虫 / ノックアウトマウス / 肥満細胞 / goblet cell / 排虫 / 防御免疫 |
研究概要 |
CD45ノックアウトマウス(雄、9週令)にネズミ糞線虫(S.r.と略す)第3期幼虫(L3)2000を皮下接種し感染動向を排卵数(EPG)で検索した。対照としてC57B1/6マウス(雄、9週令)に同様の操作を行った。対照ではEPGは感染後6〜8日後にピークとなり4〜15×10^3/gに達し、12〜16日には完全に排虫された。これに対しノックアウトマウスではEPGはピークを示さずなだらかに増加し感染後22日前後に排虫された。EPGは0.5〜3×10^3/gであった。ノックアウトマウスの1匹は感染後42日目まで感染が持続したものがあった。次に、予備実験ではノックアウトマウスではS.r.L3の小腸移行がかなり阻害されたためS.r.の成虫200匹をマウス十二指腸に直接接種しEPGの動向を追った。対照はC57B1/6マウスを用いた。対照では感染2日後にピークを示しEPGは4〜40×10^3/gに達し感染後10〜12日前後に排虫された。ノックアウトマウスでは感染後初期にEPGはピークとなったが0.1〜1×10^3/g程度であり感染後10日前後で排虫されている。感染2日において獲得免疫が作動しているとは考えにくくCD45ノックアウトマウスにおいてはS.r.の小腸移行が阻害されているだけでなく定着性も低下していることが見いだされた。この機序を探るため、感染後のノックアウトマウスの小腸の切片を作成し対照マウスとの比較を行った。肥満細胞数の差はなかった。ノックアウトマウスではIgEを介した肥満細胞の脱顆粒が傷害されており、このため代償としてgoblet cell数の変化の可能性について観察した。goblet cell数に有意差はなかった。しかし小腸表面をおおうムチンの量はノックアウトマウスにおいて減少していた。このことがS.r.の成虫の定着及び排虫にどのように関与しているか解析中である。
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