研究概要 |
サルコイドーシスは、非壊死性肉芽腫が各種臓器に形成される原因不明全身性炎症性疾患である。これまで患者病的材料を用いて、病因の追究および患者の免疫学的側面をサイトカインネットワークから追究してきた。一方で、マウスを用いた実験的肉芽腫形成モデルについて追究してきた。 1,病因については、結核説、プロピオニバクテリウムアクネス説が現在のところ有力であるが、それらのいずれかが単独で発症させる可能性は少なく、むしろ多因子の背景があるところへある種の感染が引き金となっている可能性が強い。我々は、非病原性であり、土壌細菌(環境細菌)でもあるRhodococcus aurantiacus (R. a)も原因の1つになりえるとの立場から研究を進めている。 2,サルコイドーシス患者の免疫学的特性としてツベルクリン反応が陰性であるアネルギーがあるが、それは全身性の肉芽腫反応の結果であり、免疫不全を意味していない。患者リンパ節の肉芽腫病変よりIL-1,TNFα,IFN-γが検出されるが、中でもIFN-γは血中レベル、病勢と相関していることを明らかにしてきた。免疫組織染色などからもサルコイドーシス肉芽腫形成はTh1タイプ反応の結果である。 3,ロドコッカス菌をマウスに清注すると肝臓、脾臓、肺などに典型的な非壊死性肉芽腫が形成されるが、BCGと同様にTh1タイプ反応の結果であることを示してきた。 4,IFN-γ遺伝子ノックアウトマウスにロドコッカス菌を静注すると当然のことながら肉芽腫は全く形成されないが、IFN-γを補充しても形成されない。BCGは巨大な肉芽腫を形成するのとは異なる。第3の機序である。何が必要なのか、宿主素因との関係からも重要な現象であり、現在集中して研究している。
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