研究概要 |
サルコイドーシスは,非壊死性肉芽腫が各種臓器に形成される原因不明の全身性慢性疾患である.病因としては,国内ではプロピオニバクテリウムアクネス説が有力であるが,決定的ではない.むしろ宿主側に多因子の背景があるところえ,感染や異物が引き金になって発症する可能性の方が有力である.我々は,非病原性であり,環境細菌でもあるロドコッカス菌(Rhodococcus aurantiacus)も原因の1つになり得るとの立場からマウスでのモデル研究を進めて来た. ロドコッカス菌をマウスに静脈注射すると肝臓,脾臓,肺に多発性の肉芽腫,いわゆるタイプI肉芽腫が細胞性免疫機構が成立することによって形成される.即ちThl細胞から産生されるIFN-γが肉芽腫形成に必須である.IFN-γを要とした免疫療法の可能性をサイトカイン遺伝子ノックアウト(KO)マウスを用いて検討した. IFN-γKOマウスには,ロドコッカス菌接種によっても肉芽腫は形成されないが,それはTh2細胞から産生される抑制性サイトカインの1つであるIL-10であることが判明した.IL-10KOマウスの維持が困難なため実験は不成功であったが,IL-4KOマウスを用いて明解な結果が得られた.IL-4KOマウスでは,IFN-γが高く著明な肉芽腫が形成された.これらの結果は,既に報告している単クローン抗体投与による結果を追認するもので,サルコイドーシス肉芽腫に対する免疫療法の可能性を示唆するものである.
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