研究課題/領域番号 |
08457085
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 信一 金沢大学, 医学部, 教授 (90019620)
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研究分担者 |
前側 恒男 金沢大学, 医学部, 助手 (50283114)
唐 澤 忠宏 金沢大学, 医学部, 講師 (90251917)
山川 清孝 金沢大学, 医学部, 講師 (20110629)
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キーワード | Clostridium difficile / 偽膜性大腸炎 / 細菌毒素 / ビオチン / ストレスタンパク / アミノ酸 / 毒素産生 / 遺伝子クローニング |
研究概要 |
ディフィシル菌(Clostridium difficile)の毒素産生がビオチン欠乏時に著しく増強される現象(ビオチン効果)に関与する菌体内タンパクを、KZ 1647 株を用いて解析し、以下の知見を得た。1.SDS-PAGEの結果、ビオチン欠乏時の(0.05 nM)にはトキシンAおよびトキシンB以外に少くとも2種類のバンド(130 kDaおよび145 kDa)が強く現れた。これらのバンドは毒素のバンドとほぼ平行して経時的に増強した。2.この2種類のタンパクバンドをゲルから切り出して抽出、精製した後、N末端アミノ酸配列を解析し、130 kDa タンパクについては20残基、145 kDa タンパクについては19残基を決定した。3.ホモロジー検索の結果、130 kDa タンパクは既知タンパクンの一種に対し極めて高い相同性を有していた。一方、145 kDa タンパクに対して有意な相同性を示す既知アミノ酸配列はデータベース中には存在しなかった。4.得られたアミノ酸配列を基に遺伝子のクローニングを行った。130 kDa タンパクについては翻訳開始点から400 bp、また上流域800bpをクローニングした。145 kDa タンパクについては翻訳開始点から700 bp、また上流域900 bpをクローニングした。現在、これらの遺伝子構造を完全に明らかにすべく研究を展開している。本研究では更に、ビオチン効果を抑制するアミノ酸について解析し、以下の知見を得た。1.グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン、リジンの添加(10 mM)はビオチン効果を抑制した。2.その抑制効果には2種類が存在し、リジンの場合は菌の増殖を抑制することにより、その他のアミノ酸については菌の増殖を促進することにより抑制効果が発揮された。今後、ビオチン効果の抑制を上記の菌体内タンパクの関連において解析を進めていく予定である。
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