研究概要 |
1.ジフテリア毒素フラグメントの単離精製:結晶ジフテリア毒素のNicked formをDTT還元し、1mMDTT,2M尿素の存在下で、ゲル濾過しフラグメントA,Bに分離、さらにイオン交換クロマト(FPLC,Mono Qカラム)を用いて行い、精製フラグメントAおよびBを得た。 2.破傷風毒素フラグメントの単離精製:精製破傷風毒素をDTT還元、4M尿素処理し、1mMDTT,2M尿素の存在下でゲル濾過し、フラグメント[A],[B・C]を得た。精製毒素を穏やかにパパイン処理し、SW3000GカラムによるHPLCによってフラグメント[A-B],[C]を単離精製した。さらにフラグメント[A-B]をDTT還元、2M尿素処理し、1mMDTT,2M尿素でFPLCを用いてイオン交換クロマトグラフィーを行い、フラグメント[A],[B]を単離精製した。 3.抗破傷風モノクローナル抗体(MAb)の産生、精製と特性化:ハイブリドーマG1,G2,G3,G4,G6が産生するMAbをプロテインA-セルロファインカラムで精製し、それらの中和能を調べ、さらにMAb-G4,G6,G2がそれぞれ、毒素のドメイン[A],[B],[C]の特定部位を認識することを明確にした。ついでMAb-G6,G2,G4のH鎖およびL鎖可変部領域の遺伝子のクローニングに成功し、ヌクレオチド配列を決定し、それらのアミノ酸配列を推定した。 4.破傷風毒素およびジフテリア毒素の各フラグメントを組み合わせて、SPDPあるいはCDI反応によって複合体をつくり反応処理物を電気泳動で分離、上記MAbによってキメラ複合体毒素を同定し、それらのFPLCによるイオン交換クロマトグラフィーによる単離精製を試みている。 5.上記キメラ複合体毒素の単離精製標品について、特異的な毒作用を動物および組織培養細胞について調べようとしている。その場合、毒素の認識部位および可変部領域一次構造が明らかになった上記の精製MAbG4,G6,G2を混入毒性を鑑別する有力な手段として用いる。
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