デング出血熱の病態形成におけるフラビウイルス交叉性免疫応答の役割を解明することを最終的な目的とし、デングウイルスと日本脳炎ウイルス交叉性T細胞の解析をヒトおよびマウスのリンパ球を用いて詳細におこなった。日本脳炎ウイルスとデングウイルス間には免疫ヒトリンパ球を用いてのバルクカルチャーにおいては交叉反応性が認められた。しかし、CD4陽性T細胞クローンレベルでは日本脳炎とデングウイルス間に交叉反応性が認められなかった。一方、日本脳炎ウイルス反応性T細胞クローンの一部は西ナイルウイルスとの間に交叉反応を認めた。これは、日本脳炎ウイルスと西ナイルウイルス間でのアミノ酸の相同性の高さによると考えられる。従って、ヒトT細胞においてフラビウイルス交叉反応性は存在するが、日本脳炎とデングウイルス交叉性のものは低頻度であると考えられる。これらCD4陽性ヒトT細胞クローンのT細胞レセブターはユニークなモチーフは認められなかった。 一方、マウスにおいてもデングウイルスと日本脳炎ウイルス間のT細胞交叉反応性を検討ずろ目的で、まず、日本脳炎ウィルス反応性キラーT細胞の誘導と認識するエビトープの解析を行った。マウスを日本脳炎ウイルスで免疫することにより、日本脳炎ウイルスに対するキラーT細胞が誘導される。これらのキラーT細胞が認識するエビトーブはエンベローブ蛋白質のアミノ酸60-68番上にあり、H2K^d拘束性であった。現在、このエピトープを認識するT細胞のフラビウイルス交叉性、およびマウスキラーT細胞が認識ずろ他のエヒトーブの同定が進行中である。
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