研究概要 |
(1)抗ラットCD80,CD86抗体の作製に成功し、その投与により移植心の生着を認めた。さらに、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)や実験的自己免疫性ブドウ膜炎(EAU)といった自己免疫疾患モデル、あるいはHTLV-1関連疾患への効果を検討している。 (2)抗IL-12抗体の投与によりマウスEAUの発症が阻止され、その後のchallengeにも抵抗性の寛容が成立した。これはTh2型のサプレッサーの誘導によることが示された。 (3)ジストロフィン欠損mdxマウスにジストロフィンを有する正常筋芽細胞を移植するとジストロフィン自身が抗原となって拒絶が起こることを明らかにし、同定した抗原ペプチドを用いてジストロフィンに対する免疫寛容を導入すると生着することを示した。 (4)CD40リガンドを遺伝子導入により発現させた同系腫瘍は速やかに拒絶され、その後の同一腫瘍のchallengeにも抵抗性のメモリーT細胞が誘導されることかを見い出し、前者は宿主でのIL-12産生の誘導、後者はCD80,CD86の誘導によることを示した。 (5)マウス急性移植片対宿主反応(GVHD)において、肝障害は主にFasリガンド(FasL)、腸管障害は主にTNF,皮膚及びリンパ系の障害は両者によることを示し、これらに対する中和抗体の投与により急性GVHDの回避、寛容の導入が可能であった。また、FasL及びTNFの遊離を阻害するプロテアーゼ阻害剤の投与でも同様な効果が得られた。 (6)抗CD80/CD86抗体抵抗性の同種脾内移植肝細胞の拒絶は、Fas/FasLを介した傷害反応であることを明らかにした。 (7)同種移植角膜の生着においては、角膜内皮上のFasLが浸潤細胞のアポトーシスに寄与していることが示された。 (8)FasLを遺伝子導入により発現させた細胞を同系マウスに移植すると、皮下では速やかに拒絶されるが腎被膜下では拒絶されにくいことを見い出した。しかしながら、異系あるいは異種では腎被膜下でも生着の延長は認められなかった。 (9)マウスFasLには多型が存在し、アポトーシス誘導活性が異なることを明らかにした。 (10)マウスTRAIL発現細胞に対する同系あるいは異系宿主の反応を検討している。
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