研究課題/領域番号 |
08457111
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 健 北海道大学, 医学部, 助教授 (40153811)
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研究分担者 |
細川 敏幸 高等教育機能開発総合センター, 助教授 (00157025)
斎藤 和雄 北海道大学, 医学部, 教授 (80000917)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 微量元素 / 膜輸送機構 / 脳 / 老化 / 神経疾患 |
研究概要 |
本研究は、未だ明らかにされていない脳の金属イオン膜輸送機構を解明し、神経伝達機構との関連などその神経生理学的意味を明らかにし、さらに、金属イオン膜輸送機構と痴呆症、パーキンソン病など神経難病や脳の老化機構との関連を検討し、神経疾患や老化のマーカーの発見や予防・治療法を開発することを目的とする。本年度に得られた成果は、以下のごとくである。 1.ウィルソン病のモデル動物のLECラットを用い、銅代謝異常に伴う脳内微量元素および神経伝達物質代謝について詳細に検討し、脳内銅の動態が、他の微量元素およびカテコールアミン、アセチルコリン、セロトニン代謝の変動をもたらすことを明らかにした。さらに、脳内への銅の蓄積によって引き起こされるとされる脳障害に、銅の蓄積以前に引き起こされる神経伝達物質の変動が関与していることを明らかにした。 2.ウィルソン病の原因物質である銅の膜輸送蛋白(ATP7B)のモノクローナル抗体を作成し、免疫組織化学的手法を用いて、ラットの脳、腎臓および肝臓の銅の膜輸送蛋白の局在、さらに、各組織でのmRNAの発現についても同時に検討した。 その結果、ATP7Bは、脳では、神経細胞に特異的に分布し、部位別にみると、海馬、嗅球および小脳の顆粒細胞に高濃度で分布していた。腎臓では、皮質およびアウタ-ストライプ、アウタ-メジュラに高濃度で分布していた。これらの分布から、ATP7Bは、肝臓での銅代謝のみならず、脳機能の発現維持や腎臓での銅の再吸収に関与していることが示唆された。
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