研究概要 |
従来からの自衛隊定年退職前健康診断制度を活用して作成した男性自衛官のデータベースに2,500名以上のデータを追加して、48-59歳の7,637名の横断的データベースを作成させた。共通な情報としては、喫煙、飲酒、緑茶飲用、コーヒー飲用及び10食品項目からなる生活習慣要因の情報ならびに広範な医学的検査の結果が整理されている。臨床検査結果としては、血清脂質、血清肝胆系酵素、血清尿酸、75-g経口糖負荷試験の結果、胆嚢超音波検査結果および大腸内視鏡検査結果が含まれる。高脂血症治療中の者などを除き、7,391名のデータを用いて緑茶飲用と血清総コレステロール、HDLコレステロールおよび中性脂肪との関連性を検討した。病院、調査機関、階級、喫煙、飲酒、肥満度、耐糖能およびコーヒー飲用の影響を調整した場合の血清総コレステロールの平均値は、1日あたりの緑茶飲用杯数が0、1-3、4-6、7-9および10杯以上の者で、それぞれ201.9、199.4、197.3、200.0および196.3mg/dlであった(トレンドp=0.0007)。緑茶飲用は血清HDLコレステロールおよび中性脂肪とは関連していなかった。食物要因のうち、牛乳、朝食のパン、みそ汁および生野菜の摂取が血清総コレステロールと統計的に有意にあるいはほぼ有意に関連していた。これらの食物要因を補正した場合、緑茶1日1杯の飲用は血清総コレステロール0.39mg/dl(95%信頼区間0.21-0.80)の低下と関連していた。コーヒー飲用は血清総コレステロール、HDLコレステロールあるいは中性脂肪の値と関連していなかった。 このデータベースを用いて、緑茶飲用以外の生活習慣要因と生物学的健康指標との関連性も検討することができた。コーヒーの習慣的飲用者では、肝機能検査値が良好であること、血清尿酸値が低値であること、血圧が低値であることなどもわかった。緑茶ではこのような関連性は認められなかった。
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