研究課題/領域番号 |
08457118
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
相澤 好治 北里大学, 医学部, 教授 (10124926)
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研究分担者 |
苅部 ひとみ 北里大学, 医学部, 講師 (10161259)
小谷 誠 東京電機大学, 工学部, 教授 (60057205)
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キーワード | 半導体 / 磁界測定 / インジウムリン / インジウム砒素 / 石灰石 |
研究概要 |
本研究では、磁界測定による残留磁界の急速な低下(緩和)を指標として半導体関連物質の細胞毒性評価を行うことを目的とし、小動物の肺胞マクロファージに標識としてのFe_3O_4に加え、InP、InAs、有機Snなどの半導体関連物質を貪食せしめ、磁界測定装置を用いて外部磁化後、緩和への影響を検討する一方で、LDH、βグルクロニダーゼ等の逸脱酵素を測定し、又、光学・電子顕微鏡レベルでの細胞変性ないし細胞死を観察した。 その結果、GaAsの細胞障害性については、既に報告して来たごとく、磁界測定、LDH活性測定値及び形態学的観察のいずれにおいても投与量依存的であった。一方、InP、InAsは、磁界測定において緩和が認められたのに対し、逸脱LDH活性値測定において量依存的に高値を示した。又、形態学的観察においては細胞質の変性ないし壊死を思わせる所見を得た。以上、InP、InAsの肺胞マクロファージに及ぼす作用としては細胞質への毒性が考えられる。 今回我々は、わが国の国土開発に不可欠なセメントの主原料としての石灰石粉塵についてin vitroでハムスターの肺胞マクロファージに及ぼす障害性を前回同様、細胞磁界測定、逸脱LDH活性値測定、形態学的観察により評価検討し、また、in vivoにおいて、家兎を用いて石灰石粉末を気管内注入し磁界測定を行い形態学的観察も行った。in vitroおよびin vivoにおける石灰石粉末の肺胞マクロファージおよび肺組織への障害性は殆ど無視できる結果を得た。 これは、日本の石灰石は比較的純度が高くけい肺の原因となる遊離ケイ酸の含有量は一般の鉱物と異なり少ないとされている。また、この結果を支持する報告も多々ある。 今後は、これら結果の原因、機序等をアポトーシスの観点も含め検討を重ね、更に、未知の化学物質等の安全性・評価へも応用してゆきたい。
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