研究課題/領域番号 |
08457120
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大本 美彌子 東邦大学, 医学部, 教授 (20057491)
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研究分担者 |
塚本 昭次郎 日本大学, 医学部, 助教授 (90059296)
今井 常彦 東邦大学, 医学部, 講師 (90104215)
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キーワード | 傍糸球体細胞 / 膜性腎炎様変化 / 免疫複合物 / レニン-アンギオテンシン / ヘモグロビン結合アセトアルデヒド / アルデヒドアダクト / エタノール / エリスロポイエチン / ACE genotype / 血圧 / 骨障害 |
研究概要 |
1.マウスにおよびラットによる実験的研究 (1)ラットに17ケ月間エタノール投与後、断酒して48時間、96時間において腎臓中にEtおよびAcAldの蛋白結合体が存在すること、腎組織所見としてAcAld蛋白結合体が抗原として産生されたと考えられる抗体・免疫複合物が腎糸球体内PAS陽性物質として沈着が認められ、その結果と見られる糸球体腫脹、基底膜肥厚、メサンギウム細胞増殖、傍糸球体細胞の増殖等、膜性腎炎様変化として観察された。尿細管についても上皮細胞腫脹、脱落、硝子様滴、間質への細胞浸潤、塩基性尿細管が観察された。(2)マウス15ケ月投与後における大腿骨骨頭部、大腿骨、脛骨の観察において顕著な骨梁の菲薄化、骨細胞数の減少が観察された。 2.多量長期飲酒者による研究 多量長期飲酒者群の2ケ月以上断酒者において、赤血球中のF-AcAld、B-AcAldはいずれも少量飲酒対照群の約2〜3倍が存在し、renin活性、ACE活性、angiotensin I、II、1α、25(OH)_2D_3、erythropoietinの全指標において多量長期飲酒者群に有意に高値を示した肝機能指標には特に著変は見られなかった。 平成8年度成果および本年度観察結果より、多量長期飲酒による腎を中心とした影響は大きく、renin活性の高いこと、とくにACE II型であってALDH2NN型の者には特段に高値で、angiotensin I、II高値につながり血圧上昇をもたらすことや骨端の栄養血管の収縮にも関与することなどが推定される。1α,25(OH)_2D_3の変動は骨粗鬆など骨吸収にも関与するものであり、飲酒による高血圧、骨障害の機序解明の重要なうらずけが出来たものと考える。
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