研究課題/領域番号 |
08457122
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
大竹 徹 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (70250298)
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研究分担者 |
泉本 洋子 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 研究員 (70291218)
川畑 拓也 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 研究員 (80270768)
森 治代 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 研究員 (20250300)
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キーワード | エイズ / HIV-1 / HIV-1RNAコピー数 / CD4陽性細胞数 / 薬剤耐性 / 逆転写酵素阻害剤 / プロテアーゼ阻害剤 / フォローアップ |
研究概要 |
97年1年間に60名(内14名が女性)のHIV感染者を対象にフォローアップを実施した。1年間のウイルス分離率は49%であり、昨年の79%に比べ大幅に低下した。この点は、近年逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤を2〜3種組み合わせる多剤併用療法が主流を占めるようになり、その結果、効果的に体内ウイルス量の減少がはかられたことが反映しているものと推察された。また分離された例(n=46)でのCD4陽性細胞数(CD4_+値)の平均値は145であったのに対して、分離されなかった例(n=33)では277であり分離率と病態との間に関連が見られた。血中HIV-1量と病態との関連性を検討したが、抗HIV剤投与の影響が鋭敏に反映されており、薬剤の効果判定にHIV-1量測定が有用であることが示された。現在までに171例について抗HIV剤の耐性に関する遺伝子解析を行った。抗HIV剤耐性獲得に関する遺伝子に変異が見られた多くの例においては、血中RNAコピー数の増加とCD4_+細胞値の低下が見られ、遺伝子解析が有用であることが示された。ちなみに耐性を獲得していない例での血中RNAコピー数は平均18,948コピー/mLであったのに対して、投与中の薬剤のうち1種類以上に対して耐性を獲得していると思われた例では62,479コピー/mLであり、CD4_+細胞値については前者が平均274であったのに対して後者では167であった。プロテアーゼ阻害剤に対する耐性獲得に関与しているとされる遺伝子変異が、投与開始以前から検出された例がみられた。それらの変異部位はプロテアーゼ領域のアミノ酸配列10、36、63、77番目などであったが、これらの変異をあらかじめ有する例においてプロテアーゼ阻害剤の効果の低下などの所見は特に見られなかった。さらに、プロテアーゼ阻害剤に関する変異部位が少ない場合は薬剤の効果の低下は、さほどではなく、変異が蓄積するに従って病態の悪化が目立つことがいくつかの例において認められた。
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