研究課題/領域番号 |
08457122
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研究機関 | 大阪府立公衆衛生研究所 |
研究代表者 |
大竹 徹 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (70250298)
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研究分担者 |
泉本 洋子 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 研究員 (70291218)
川畑 拓也 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 研究員 (80270768)
森 治代 大阪府立公衆衛生研究所, 公衆衛生部, 主任研究員 (20250300)
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キーワード | エイズ / HIV / 臨床マーカー / ウイルス分離 / 薬剤耐性 / 逆転写酵素阻害剤 / プロテアーゼ阻害剤 / HIV RNAコピー数 |
研究概要 |
1998年1年間に、4名の外国人を含む68名(内13名が女性)のHIV-1感染者を対象にフォローアップを実施した。HIV感染者からのウイルス分離率の低下傾向が前年に引き続き見られ、1988〜1996年の8年間の平均64%から1997年、1998年2年間は39%に低下した。さらに分離されたウイルスの悪性化タイプ出現率も同様に21%から8%へと急激な低下し、分離に要する培養期間の延長が見られた。これらの現象は発達した多剤療法により、HIVの増殖が効果的に抑えられ、HIIVの変異が抑制された結果であると考えられた。さらに個々の感染者についても、薬剤による治療が効を奏して例では、治療開始以前に悪性化タイプのウイルスが検出されていた例でも、ウイルスが分離されなくなったり、分離に要する培養期間が延長し、さらに悪性化タイプのウイルスが消失したりする例が少なからず見られた。これらよりウイルス分離データは以前我々が見い出した発症マーカーとして有用であることのみならず、薬剤治療の効果を示す良いマーカーになりうろことが明らかとなった。 薬剤投与を受けている約200例について薬剤耐性を調べたが、53%の感染者(1年以上投与では69%)について薬剤耐性を示す遺伝子(アミノ酸)変異が検出された。約90%の感染者において、プロテアーゼ阻害剤の投与を受ける以前から1〜3ヵ所の薬剤耐性に関与するアミノ酸変異が検出された。そのうちの数例において薬剤投与開始後に2〜5ヵ所の新たな変異が観察され、それに伴う血中HIV量の増加が認められたため、耐性を獲得したものと判断された。しかしながら、投与以前より存在する変異が治療効果に及ぼす影響については明らかにされなかった。明らかなアミノ酸変異が検出されないにも関わらずin vitroにおけるウイルス株の薬剤感受性テストにおいて耐性を示す、いわゆるgenotypeとphenotypeが一致しない例が認められた。
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